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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 愛と死を見つめて
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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」

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初恋の男を思い続けて生きた女Ⅱ。其の一

◇現実と夢の境界◇
画像 Z0003
夢の中で、私はまだ14、5の少女でした。
夢には、何時もモワモワッとしたドライアイスの煙のような
フレイムが掛かっていました。
真っ白い空間をバックに私は一人佇んでいました。
まるで突然、野原に置き去りにされた子犬のような心細い気持ちでした。

「あ、武朗・・・」
少しすると、霞の向こうから一人の少年がやってきました。
忘れもしない、それは川本武朗(仮名)でした。
彼はにこやかに私のほうに進んできます。
「やだ、武朗生きていたのね。死んだなんて嘘だったのね!」

途端に私の胸は熱いもので一杯になりました。私は思わず武朗に飛びついていました。
「そうとも、僕は死んでなんかいないさ。何時だって雅恵の側に居るんだよ」
と、武朗はすがり付いてきた私をその場に押し倒しました。
私はもう嬉しくて嬉しくて、涙を零さずにはいられませんでした。

「会いたかったわ、武朗、どうして急に姿を消しちゃったの、ひどいわッ」
「ごめんよ、どうしても行かなきゃならないところがあってね、
 僕だってずーっと雅恵に会いたかったんだ。でも、もう僕らはいつも一緒だよ」

ここでふいに私達は全裸になりました。先程まで服を着ていたはずなのに、
どちらも魔法に掛かったように突然素っ裸になってしまったのです。
これも、いつもの展開のパターンでした。

「好きだよ、雅恵、君とやりたい!できればずっと遣り続けていたい!」
武朗の股間はすでにリンリンと勃起していました。
私も爆発しそうなくらいに欲情していたのです。
私達の間にもう言葉はいりませんでした。

不思議なもので、
ときとして夢の中では現実よりも感度が研ぎ澄まされる現象が起こるようです。
私は日常をはるかに越えた欲情に取り憑かれていました。
全身が発情していました。髪の先から爪の先まで、私は異様なまでに興奮していました。

そして気が狂うかと思うほど欲情しているくせに、これは夢なんだ、
決して現実ではないのだ。と言う妙に冷静な判断をも失ってはいなかったのです。
この矛盾が夢の夢たる所以なのかもしれません。

私は武朗にむしゃぶりついていました。
早く、早くその逞しいもので私を貫いて、いっぱいにして・・・。
それは切ないほどの願望でした。そうなのです。武朗の夢を見る時は何時も、
泣きたくなる様な切ない感情で胸が押し潰されそうに成る私でした。


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初恋の男を思い続けて生きた女Ⅱ。其の二

◇雅恵をいじめるな◇
中学生
話は今から30年前に遡ります。私は中学2年まで青森の田舎町に住んでいました。
それがどうして東京にでてくるようになったかと言うと、そこには複雑な事情があったのです。

「雅恵、母ちゃんはもう我慢の限界だ。おまえには申し訳ないけんど、
 父ちゃんと離婚する事にした。ごめんよ、おまえを片親にする事になっちまって」
「いいよ母ちゃん。母ちゃんはもう十分辛抱したんだもん、仕方ねさ」
私の父は酷い放蕩者でした。飲む打つ買うの三拍子揃った道楽者で、
多額の借金を背負っていました。長い間、母はそれはそれは苦労させられていました。
その苦労を知っているからこそ、私は離婚に賛成したのです。

「私、母ちゃんに従いてくよ。でも、これからどうすんの?」
「そう言ってくれると思ってたよ。母ちゃん色々考えたんだけど、
 東京さ行こうかと思ってんだ。離婚なんかしたら、もうこの町にはいられね。
 東京さ行けば、親子ふたり何とか食べていけるんじゃねかな」
「東京!いいね。うん、二人で東京でやり直そう」

父と母が協議離婚したあと、私と母は不安と希望を胸に上京してきました。
ところがやはり、都会は田舎者の親子を温かく迎えてはくれませんでした。
まず住む所を探すのが一苦労でした。保証人もいない母子家庭の親子に、
不動産屋はいい顔をしませんでした。足を棒にしたあげく、ようやく私達は
一軒のぼろアパートを借りる事ができました。加えて、母は生活の為に職探しに
奔走しなければなりませんでした。けれど、これといって手に職の無い40女が
そうそう簡単に就職できるはずもありません。

製パン工場に就職が決まるまで何ヶ月もかかりました。が、給料は安く、
親子ふたり暮らしてゆくのに十分とはいえませんでした。

そして私と言えば、中学3年の春、東京郊外の市立中学へ編入したのですが、
新しい環境に中々馴染む事が出来ませんでした。何せ私は隠しようもない
田舎っぺの上に、誰が見ても貧乏丸出しの惨めな少女だったのです。

そんな私が、いくら郊外とはいえ、東京の子たちに快く受け容れられる
訳がありませんでした。私の新しい学校生活は悲惨を極めました。

「やーい。ずーずー弁のいなかっぺェ!近くに寄るな、訛りがうつる」
「やーね、いつも汚いブラウスを着てさ。なんか、くさーい!」
「おかしいな、給食費がない。今朝ちゃんと持って来たはずなのに、
 雅恵、あんた盗んだんじゃないのっ」
昨今学校でのイジメが問題になっていますが、あの時の私もまさに典型的な
いじめられっ子でした。本当に辛くて辛くて何度、青森に帰りたいと思った事でしょう。


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初恋の男を思い続けて生きた女Ⅱ。其の三

◇処女の充足感◇
恋人のキス
小屋の中は、もう長い事、人の出入りした気配がありませんでした。
床板は腐りかけ、湿った薪がいくつか転がっているきりで、
他には何も置かれていない殺風景な小屋でした。

「雅恵、オレ、オレ、ズッとこうしたいと思ってたんだ!」
小屋へ入るなり、いきなり武朗は私を抱きすくめました。
その時の私達はまだ手も握ったことのない清い関係でした。私は武朗のなすがままでした。
私の中では、すでに武朗にすべてを捧げても良いと言う覚悟が出来ていました。

武朗の口唇が性急に私の口唇に迫ってきました。
頭の中で山口百恵の『ひと夏の経験』が駆け巡っていました。
「あなたに女の子のいちばん大切なものをあげるわ」と言うフレーズが
血潮のように肉体中を流れていたのです。

それは私の初キスでした。武朗の口唇が触れたとたん、
私の肉体は感電したように震えていました。こんどは、切ないばかりの歓びが
肉体を一杯に満たしました。今思えば何て拙いキスだったことでしょう。
しかし、それでも私は満足でした。キスはこれから訪れる本格的行為の前兆に
過ぎませんでした。幼いキスが終わったあと、武朗はせかせかと私を湿った床に
押し倒していったのです。

その時の私の心境は、あえてここで述べるまでもないことでしょう。
私はキスの経験さえない処女でした。もう心臓が破れて口から溢れ出すのでは
ないだろうかと思うほど緊張しまくっていました。

「いいだろう。雅恵?ゆ、許してくれるよな」
対する武朗もまたガチガチに緊張していました。武朗とて私と同様の立場でした。
つまり、彼もこのときが初めてだったのです。
「うん、いいよ武朗。武朗の事、私大好きだもん」

武朗の問いかけに私はこっくり頷いていました。胸は破裂せんばかりに鼓動していましたが、
それでも私は大好きな人に処女をあげる事の歓びにわなないていたのです。
たとえ場所がボロボロの掘っ立て小屋であっても、床がぬけそうであっても、
私は例えようもない歓喜を全身に浴びていたのです。
それほど、私の心は武朗に傾いていました。

私達は手探りで初体験に挑戦しようとしていました。私と武朗はお互いに背中合わせで
裸に成ると、どちらかともなく求め合ったのです。瞬間、私は今までに感じた事も無い
感動を味わっていました。ぽっかりと温かい肌の温もりに包まれて、
ため息を洩らさずにいられませんでした。


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初恋の男を思い続けて生きた女Ⅱ。其の四

◇輝いていた季節◇
スイカ畑
私達の関係は親密になっていく一方でした。肉体関係が出来た事によって、
ますます離れがたい仲になったのです。私はもうイジメなど恐くはありませんでした。
いくら苛められても私には武朗がいる。そう思うだけで勇気が沸いて来ました。

相変わらず私達は放課後も一緒でした。学校が終わると一目散に野山に飛んでいき、
セックスは勿論の事、色々な悪戯をたのしみました。
私達には、恐いものなどなにもありませんでした。お金は一円も持っては居なかったけれど、
貧乏なりの楽しみを知っていたのです。

いつもお腹が空いて居ましたが、私たちにはおやつを買うお金もありませんでした。
その代わり、自然が私達の味方をしてくれました。とにかく周りが畑だらけだったので、
農作物が豊富でした。私達はこっそり他人の畑に忍び込んでは、
沢山の野菜や果物を失敬していたのです。

キュウリやキャベツ、それにスイカやトマトにニンジンなど、おやつには事欠きませんでした。
悪い事とは知りながら、私達は農作物を盗んでは空腹を満たしていました。
野菜をかじりながら、私達はこれ以上は望めないような幸福感に浸っていました。
お腹一杯になると、武朗は野口五郎や西条秀樹の歌を唄ってくれたものでした。

本当にあの頃の私達は無邪気で奔放でした。お腹が空いたと言っては畑を荒らし、
欲望を覚えたと言っては青空の下でセックスして・・・あの当時は貧しかったけれど、
私の人生の中で一番輝いていた季節だったかもしれません。

私達の食欲と性欲はそれは貪婪でした。毎日盗みをし、毎日セックスをしていました。
畑に入って食欲を満たすと、そのあとはセックスと言うのが何時ものパターンでした。
私達はほとんど自然をベッドにしていました。
屋内では全くと言っていいほど行為した事がありませんでした。


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初恋の男を思い続けて生きた女Ⅱ。其の五

◇天国からのエール◇
1.jpg
「ああーん、いいよォ!最高だょ、武朗っ」
私の腰は武朗の働きに合わせてリズムを取っていました。この頃には、
誰に教えられたわけではないけれど、しっかり腰を使うことをマスターしていた私でした。

「うっうっ、あ、あんまり締め付けるなよ、出ちゃう」
しかし若さゆえ武朗はそれほど長持ちはしませんでした。私がたまらず過激に腰を
揺さぶると、彼はまたたく間に発射の態勢に入ります。

「うおおーっ、出るぞ、出るぞ、雅恵ーっ・・・」
ドビュツと迸りを胎奥に感じた瞬間、私は快美の極みに押し上げられていきました。
私は、15歳にしてイクということを知ったのです。
当時としては、何と早熟な女の子だった事でしょう。武朗との交わりが、
私を飛び抜けた大人びた少女へと成長させてくれたのです。

しかしながら武朗との幸せな日々はそう長くは続きませんでした。
中学三年の冬、まったく予想だにしなかった不幸が私たちを襲ったのです。
ある日、突然武朗が学校にも野山にも姿を見せなくなったのです。
武朗が無理心中の犠牲になったと聞かされたのは、それから間もなくの事でした。

「う、嘘っ!武朗が死んだなんてそんなの信じられないッ」
私は悲嘆に泣きくれました。武朗が母親と一緒にガス自殺をしただなんて、
信じたくはありませんでした。

貧しさに負けたのだ、と誰かが言っていました。
私の知っている武朗はそんなに弱い人間ではありませんでした。
けれど、彼のお母さんはそうではなかったのかもしれません。

武朗を失ってから、私は生まれて初めて死にたいほど落ち込みました。
両親が離婚した時でさえ、これほどの悲しみは感じませんでした。
私は命から二番目に大切なものを失ったのです。
その喪失感は、死にも勝るものでした。それでも私は死にませんでした。
私と母だって、いつ武朗の家と同じ境遇に陥っても不思議ではない状況でした。
しかし、私と母は歯を食いしばって何とか生きてきました。


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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

*このサイトは未成年にふさわしくない成人向け
(アダルト)のコンテンツが
含まれています。「アダルト」とは
「ポルノ」のみを指しているのではなく、
社会通念上、
18歳未満の者が閲覧することが
ふさわしくないコンテンツ
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