小説・大岡川ラブロマンス。其の二
◇指の戯れ
春とは言え、桜が咲くには間がある初春の宵は冷んやりとした肌寒さであった。
マンションの窓越しに“みなとみらい地区”の高層ビルの灯りが直ぐ近くに見えた。
「よく晴れた晩だわねぇ」
念入りに身支度を終えたアズサは、約束の日なのに同伴予定の客から連絡が
来ないので最前からヂリヂリしていると、
「しゃアズサさん、お先に・・・」
サツキが丸い肉付きのお尻をプリプリ振る歩き方でエレベーターホールに向かった。
エレベータの到着を知らせるチンが鳴るや否やミドリが、
「ふん、いい気なもんだね、どう言う気でいるんだろうね、
今に罰があたるよ・・・そうなったら見ものだね」
何かにつけて、ミドリとサツキはイガミあっている。
それと言うのもミドリは馴染み客の一人をサツキに寝取られた事が有ったからである。
サツキは男なら誰でも好いと言う質であった。
札ビラさえ切ればサツキは日本人であれ、第三国人であれ、
若者であれ老人であろうが喜んで衣服を脱いで見せた。
店での接客マナーや芸事はミドリの方が一段も二段も上であるが、
サツキのこれと言って美人でもなんでもないが、見た目がポッテリとした
色の白い、言わば男好きのする質の女であった。
それも、男の目から見ると性的魅力と映るのであろう。
「好い体をしているな、サツキちゃんは」
などとボックス席では必ずサツキの身体つきが話題に成る程、
性的魅力があるらしいが、同僚のホステスからはサツキは除け者になっていた。
一種の羨望の嫉妬であった。
「その50万円を私が出そうじゃないか、
その代わり箱根の私の別荘まで来て呉れなくっちゃ出さんぞ」
サツキは競馬か競輪かで勤め先の金を使い込んだと言って、
泣きを見せて来た父親に如何にかしても50万円を工面して遣りたかった。
「あら、それじゃミドリさんに申し訳ないわ」
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流石のサツキも二の足を踏んだ。が男の方ではミドリの馴染み客は自分一人で
ないことを先刻承知の上だったので、別にミドリに義理だてることはなかった。
ミドリが文句を言うなら何時でも男の方では、「あゝ、いいだろう」と手を退けばよかった。
それよりも男にしてみればサツキの様な肉体を一晩でも抱いて寝たほうが
余っ程好い訳である。
前々から店に出ているサツキの腰廻りから発散する色気には、
涎が流れるほど食指が動いて居たほどなので、50万円位の金なら
惜しくは無かった。一度困って居る女を助けて置けば、時々は抱かせて
貰えるものと、商売人の彼は確りと計算づくの上であった。
約束の日にサツキは白いショールに地味な和服姿をして、
横浜駅のホームに姿を現した。グリーン車の中でも誰か見知った人に
出会えば“悪事千里を走る”の喩え通りミドリや男の妻の耳に入る訳で、
二人はわざわざ別々の車両に乗って小田原で下車した。
タクシーで箱根までは一つ車の中、後部シートに二人落ち着くと、
「誰にも気付かれずに済んだな」
と、運転手がバックミラーを透して見るのもかまわず、ピッタリと寄り添うと、
手と手を握り合った。サツキは男の指を握り返しながら、
「面白いわ。スリルがあって・・・時々、呼んで頂戴ね」と甘えて言った。
急なカーブや坂を上る為に、バックミラーには視線を遣らなくなった
運転手の隙に、サツキは男の手をわざと和服の裾の下に入れると、
素肌の太腿できゅつと締め付けていたが、やがて奥の方を弄らせていた。
男はそうしたサツキの仕種が子供ッぽくっ可愛くてならない。
それこそ男の方は六十になる今日まで、十指では数え切れない程、
色々な女を囲ってきたが、サツキ位男の情を強くひき付ける子は珍しいばかりか、
太腿の感触も滑々と粘っこく、思い切りきゆっと抱きしめて舐めてやりたかった。
タクシーは箱根に向かって速度を上げていた。どんよりと曇った空からは今にも
雨が降りだしそうな気配で、最終電車までにはどうしても帰りたいと言っていた
サツキだが、この空模様では到底帰れそうにも無かった。
すっかり落葉した早春の箱根路の風景が車の窓を通り過ぎる中で、
サツキは大胆にショールを男の膝に何食わぬ顔をして落としたかと思うと、
そっと、ショールの下に白い指を滑らせると、
「どう?今夜は大丈夫?」
と、小声で唇を耳につける。サツキは経験で五十を過ぎた男は、
いざという時、全然用をなさないことを知っていた。
「大丈夫、若いものには負けんさ」
「あら!本当だわ頼もしいわねェ」
実際驚いた。もう六十を過ぎた筈の男にしては、それこそ珍しい位
シャンと筋張っていた。サツキは驚きながら、ズボンのボタンを
一つ一つ外すと奥のものをぎゅっと握った。
それは仮性包茎であった。くるっと小気味よげに皮を上に剝くと、
「たくさん虐めて欲しいわ。今夜は・・・」
柔らかい掌でそろそろと動かし始めた。サツキは相当なインポ気味の男でも、
僅かな内にシャンと出来るようなテクニックを知っていた。
老境に達した男から財布の紐を緩めさせるには何よりも、
相手の萎縮しきった一物をシャンとさせるに限る。
老齢な男は滅多なことでは財布の紐を緩めないが、
死んだような一物をピンと勃たせると感激して何かしら
買って呉れるものであった。
春とは言え、桜が咲くには間がある初春の宵は冷んやりとした肌寒さであった。
マンションの窓越しに“みなとみらい地区”の高層ビルの灯りが直ぐ近くに見えた。
「よく晴れた晩だわねぇ」
念入りに身支度を終えたアズサは、約束の日なのに同伴予定の客から連絡が
来ないので最前からヂリヂリしていると、
「しゃアズサさん、お先に・・・」
サツキが丸い肉付きのお尻をプリプリ振る歩き方でエレベーターホールに向かった。
エレベータの到着を知らせるチンが鳴るや否やミドリが、
「ふん、いい気なもんだね、どう言う気でいるんだろうね、
今に罰があたるよ・・・そうなったら見ものだね」
何かにつけて、ミドリとサツキはイガミあっている。
それと言うのもミドリは馴染み客の一人をサツキに寝取られた事が有ったからである。
サツキは男なら誰でも好いと言う質であった。
札ビラさえ切ればサツキは日本人であれ、第三国人であれ、
若者であれ老人であろうが喜んで衣服を脱いで見せた。
店での接客マナーや芸事はミドリの方が一段も二段も上であるが、
サツキのこれと言って美人でもなんでもないが、見た目がポッテリとした
色の白い、言わば男好きのする質の女であった。
それも、男の目から見ると性的魅力と映るのであろう。
「好い体をしているな、サツキちゃんは」
などとボックス席では必ずサツキの身体つきが話題に成る程、
性的魅力があるらしいが、同僚のホステスからはサツキは除け者になっていた。
一種の羨望の嫉妬であった。
「その50万円を私が出そうじゃないか、
その代わり箱根の私の別荘まで来て呉れなくっちゃ出さんぞ」
サツキは競馬か競輪かで勤め先の金を使い込んだと言って、
泣きを見せて来た父親に如何にかしても50万円を工面して遣りたかった。
「あら、それじゃミドリさんに申し訳ないわ」
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流石のサツキも二の足を踏んだ。が男の方ではミドリの馴染み客は自分一人で
ないことを先刻承知の上だったので、別にミドリに義理だてることはなかった。
ミドリが文句を言うなら何時でも男の方では、「あゝ、いいだろう」と手を退けばよかった。
それよりも男にしてみればサツキの様な肉体を一晩でも抱いて寝たほうが
余っ程好い訳である。
前々から店に出ているサツキの腰廻りから発散する色気には、
涎が流れるほど食指が動いて居たほどなので、50万円位の金なら
惜しくは無かった。一度困って居る女を助けて置けば、時々は抱かせて
貰えるものと、商売人の彼は確りと計算づくの上であった。
約束の日にサツキは白いショールに地味な和服姿をして、
横浜駅のホームに姿を現した。グリーン車の中でも誰か見知った人に
出会えば“悪事千里を走る”の喩え通りミドリや男の妻の耳に入る訳で、
二人はわざわざ別々の車両に乗って小田原で下車した。
タクシーで箱根までは一つ車の中、後部シートに二人落ち着くと、
「誰にも気付かれずに済んだな」
と、運転手がバックミラーを透して見るのもかまわず、ピッタリと寄り添うと、
手と手を握り合った。サツキは男の指を握り返しながら、
「面白いわ。スリルがあって・・・時々、呼んで頂戴ね」と甘えて言った。
急なカーブや坂を上る為に、バックミラーには視線を遣らなくなった
運転手の隙に、サツキは男の手をわざと和服の裾の下に入れると、
素肌の太腿できゅつと締め付けていたが、やがて奥の方を弄らせていた。
男はそうしたサツキの仕種が子供ッぽくっ可愛くてならない。
それこそ男の方は六十になる今日まで、十指では数え切れない程、
色々な女を囲ってきたが、サツキ位男の情を強くひき付ける子は珍しいばかりか、
太腿の感触も滑々と粘っこく、思い切りきゆっと抱きしめて舐めてやりたかった。
タクシーは箱根に向かって速度を上げていた。どんよりと曇った空からは今にも
雨が降りだしそうな気配で、最終電車までにはどうしても帰りたいと言っていた
サツキだが、この空模様では到底帰れそうにも無かった。
すっかり落葉した早春の箱根路の風景が車の窓を通り過ぎる中で、
サツキは大胆にショールを男の膝に何食わぬ顔をして落としたかと思うと、
そっと、ショールの下に白い指を滑らせると、
「どう?今夜は大丈夫?」
と、小声で唇を耳につける。サツキは経験で五十を過ぎた男は、
いざという時、全然用をなさないことを知っていた。
「大丈夫、若いものには負けんさ」
「あら!本当だわ頼もしいわねェ」
実際驚いた。もう六十を過ぎた筈の男にしては、それこそ珍しい位
シャンと筋張っていた。サツキは驚きながら、ズボンのボタンを
一つ一つ外すと奥のものをぎゅっと握った。
それは仮性包茎であった。くるっと小気味よげに皮を上に剝くと、
「たくさん虐めて欲しいわ。今夜は・・・」
柔らかい掌でそろそろと動かし始めた。サツキは相当なインポ気味の男でも、
僅かな内にシャンと出来るようなテクニックを知っていた。
老境に達した男から財布の紐を緩めさせるには何よりも、
相手の萎縮しきった一物をシャンとさせるに限る。
老齢な男は滅多なことでは財布の紐を緩めないが、
死んだような一物をピンと勃たせると感激して何かしら
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ご挨拶
Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。
生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。
*このサイトは未成年にふさわしくない成人向け
(アダルト)のコンテンツが
含まれています。「アダルト」とは
「ポルノ」のみを指しているのではなく、
社会通念上、
18歳未満の者が閲覧することが
ふさわしくないコンテンツ
全般を指します。
したがって、アダルトコンテンツを
18歳未満の者が閲覧することを
禁止します。
*投稿・御意見・苦情など、何なりとお寄せ下さい。
尚「相互リンク」を希望される方も、
メールにてお申し込みください。
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