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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 「加筆再構成」雪乃その恋。其の七
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「加筆再構成」雪乃その恋。其の七

第十二章
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救急車を呼び、高野と雪乃は付き添って大学病院に向かった。
搬送されていく救急車の中で、芳子は二人の手を取り語り始めた。

「パパ有り難う、そして御免なさい、パパの子供を生めないこんな私を
此処まで大切にしてくれて、本当に良くして呉れたわ、有り難う」

「雪乃さん、もし私が死ぬ様な事が有ったらパパの事お願いしますね、
貴女がパパの事を、好きなことは前から判ってたわ、
私が出来なかったパパの子供を生んであげてね」

三人は泣き崩れた。

大学病院に到着した、芳子の身体はそのまま手術室に運ばれた。
教授の話では芳子は「急性膵臓炎」かも知れない、手遅れに成ると命の危険がある。との事だった。

手術室に運ばれて行った芳子は生きては帰って来なかった。
最初の病院で適切な処置がなされて居たら多分死ぬ事は無かったかも知れない、是も人の運命なのか。

雪乃は医者に成る事を決意し、大学に編入の手続きを取り、
役所を辞めたのはこの事が有った翌月で有った。

芳子の三回忌(死亡してから二年目の命日)も済ませ。
雪乃が大学を無事卒業したのを記に、高野は雪乃を入籍し正式な夫婦と成った。
結婚式や披露宴も無く、二人で区役所に出向き婚姻届を提出したのだ。

中学三年、15歳で担任教師で有った高野に恋心を抱いて、30歳に成った今、
15年間思い続けた「雪乃その恋」もやっと成就したのである。

医者に成る為には医科大学を卒業後二年間の研修医となって、
専攻する技術を習得し、医師免許に合格しなければ成らない。
その間子供は作らないで置こうと二人で決めた。

雪乃が研修医として派遣された病院は、
大学と提携関係に有る、佐藤病院と言う中規模な総合病院で有った。
指導医は35歳の中村武雄と言い、大学の先輩に当たる。
そして大学時代の同級生で有った加藤聡子が外科医として勤務していた。

佐藤病院での研修医期間も無事に過ごし32歳で医師免許試験にも合格し
晴れて医師となった後も37歳の今日まで、佐藤病院の勤務医として勤めた。

雪乃は33歳の時長男一樹を生み、35歳の時には二卵性の双子を出産し、
長女は綾乃と名付け、次男は義治と名付けた。

そして37歳の「ママさん先生雪乃」は今、
内科、小児科の専門医として、克って保健所時代に取得した、
保健師、助産婦、保育士、の経験を生かすべく、僻地医療の現場に、
夫高野治夫と三人の子供を引き連れて旅立とうとしている。
 
第十三章
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僻地医療人材派遣センターに登録しておいた雪乃の元に、
センターから照会が来た。
勤務地は熊本県球磨郡多良木町と言う阿蘇外輪山の中にある町で、
雪乃には始めて聞く町で有った。
夫に聞くと「俺は知ってるよ、熊本県の八代から宮崎県の日向を結ぶ
国道219号線沿いに有る町で宮崎県に近い所」だと言う。
夫の治夫は、社会科の教師で日本史や地理には詳しく、
九州には何度も出掛けて居たと言う。夫の話は未だ続く。

「その場所は日本三大急流の一つ球磨川の中流域に位置し、
美しい渓流と緑濃き森林に囲まれている田舎の町だよ」
「お前が行くかも知れない、ふるやしき診療所が有る辺りは
多良木町から、3、40キロ程球磨川の上流にある地域で
林業と農業だけの集落だよ」
「本当に山と川だけしか無いところで、
僻地と言う名に相応しいところだよ」

「勤務するのは地域中核病院に指定されて居る
「球磨郡公立たらき病院」で
宿舎は国道沿に有り「くま川鉄道の「病院前駅」に近く、
保育園や小学校も近くに在って決して寂しい田舎では無さそうよ」
「恐らく週に何日かは病院で外来を見て、
診療所での仕事は内科、眼科、心臓血管センター、
等の医師が日替わり交代で見るのでは無いかしら」

「病院の規模も今の佐藤病院より大きそうだね、
住む処の住環境も、其れほど激変する事も無さそうだし、
子供達にも負担は少ないかも知れないね」

「是からの人生、其処に掛けて見ますか」

「お前が行くと言うなら俺は何処にでも付いて行くよ、
有る程度人口の居る町なら、俺が働ける「学習塾」も有るだろし、
家族皆で行って見ますか」

雪乃は早速センターに勤務希望の返事をしておいた。
数日後「何時でも受け入れ可能です、是非九州においで下さい」
との通知が来た。

雪乃の母、照代に話をすると、
「孫達は未だ未だ「手の掛かる盛り」家政婦を雇うなら、
私が一緒に行って、孫達の面倒を見てあげる、
息子の所はもう私を必要としない位に
孫達も大きくなったから」と話はトントン拍子で進み、
雪乃の家族は、母も交えて6人が熊本に移住する事に成った。
(終わり)

*この小説は総て作者の創作であり、地名・施設名等は実在の物とは
一切関係がありません。
  1. 純愛小説
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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