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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 時代小説・旅道連越路春。其の五
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時代小説・旅道連越路春。其の五

*表題は『旅は道連れ越路の春』と読む。
旅道連越路春12(越前東尋坊)
◇温泉宿で玄庵立ち聞きの事
一度玄庵の類稀な性技で性交の醍醐味を知ったお喜久は、せめて温泉まで一緒に
行って呉とせがむので、玄庵も悪い気持ちもせぬ儘に、あくる朝、宿の者に見送られて、
七里の道を駕篭で金津に着き、今治屋久七方に泊り、其の晩も十二分にお喜久を
喜ばせた上、翌日、東尋坊を見物して、芦原温泉の三國屋に泊り、夕食後、
また温泉に浸かって来て寝床へ這入ると、火照りきった陰門に太い男根を押し入れて、
お喜久に随喜の涙を流させるのであったが、ここで玄庵は三日間滞在して、
昼と無く夜に朝方にとお喜久の求める儘に精の有りっ丈を搾り取られた。

愈々出立つとなると、お喜久は宿の払いを済ませた上で、玄庵へ餞別のつもりか、
これからの道中の費用にも余る二十五両の小判の包みを差し出した。
「お喜久さん、余計な心配はするんじゃねぇ、わしゃ金には不自由はないのだから」
「いいえ、これは先生に病気を治してもろうたお礼の印しですから、
 そんなこと云わないで納めておくんなさい。あたしの気がすまないのですから」

それまでに云うのに、たって断るのも心無いわざだったので、玄庵も気持ちよく
それを受けることにした。互いに後ろ髪引かれる思いで名残りを惜しみながら、
玄庵は吉崎の方へ、お喜久はまた福井の方へと駕篭でゆられて行く。

「伊助、気の毒だったね、つい情に引かされてね」
「ごもっとも様で。へゝゝお蔭で随分あてられましたよ」
「こぼすな。今に善い女を抱かせてやるからよ」
「冗談ですよ。あっしゃもうこうして気楽な旅を続けさせて貰ってるだけで、
 どんなに楽しいか知れやしません、女を抱くなんて冥利につきますよ」
「あんまりそうでもなさそうだぜ」
「そう云ってしまうと実も蓋もねえハハハハ」

二人は細呂木から『真宗中興の祖と言われる蓮如聖人』縁の吉崎御坊に参拝し、
有名な嫁おどし肉付きの面と云うのを見て、片山津温泉の菊屋と言う宿に着いた。

玄庵は宿の丹前に着替えると、浴室に下りて行った。
此処の温泉は大きく立派だったが、男女の混浴だった。急に玄庵は胸をときめかせた。
温泉の中には五、六人の男女が這入っていた。その内で夫婦者らしいのが二組、
互いに身体をくっ付けて首まで浸かっていたが、湯の中はどんなことをしているのか
知れたものではない。そんな中で一人だけ隅の方で浸かっている女があった。


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旅道連越路春13(片山津温泉から望む加賀の白山)
二十三、四の切れ長な目に細い三日月眉毛、抜ける程色の白い女だった。
玄庵は何気ない風を装って女の顔を穴の開く程眺めていた。
それに気がついていたのかどうか分らなかったが、女も玄庵の顔に時々眼をっていた。
やがて女は女は立上ったかと思うと、素早く前を隠して、さっと身体を拭いて出て行った。
すらりと均整のとれた美しい身体をしていた。漸く我に返った玄庵は、ソコソコに身体を
洗ってから部屋へ戻った。入れ替わって伊助は下りて行った。

玄庵は何だか女のことが気に成った。どうせ誰かの細君だろうが、あんな女を毎晩抱いて
寝る男は一生幸せだと思ったりした。しばらくすると伊助が上がって来た。
「いい湯だったろう」
「湯もいい湯でしたが先生、別嬪が泊っていますよ」
「何、別嬪だって」
「すぐこれだ、別嬪だと聞くと眼の色が変わるんだから」
「冗談じゃねえよ。その別嬪てえな、どんな女だい」
「そうですね、年の頃二十一、二か、もう少しいってるかも知れませんがね。
 すらりと小股の切れ上がった凄い別嬪ですよ。先生また一つ楽しみが出来ましたぜ」
「手に入るか入らねえか分らぬ内に楽しみもねえものだ。
 実は俺もさっき湯の中でその女を見たのだが、お前は何処で見たのだ」
「廊下を曲がった処で見たのですよ。
 チラリと見ただけすが、大丈夫、保証付きの美人ですよ」
「俺は裸で居る所を見たのだから念には及ばねえが、さて巧い算段があるかな・・・」
玄庵はちょつと思案顔になった。そこへ女中が夕飯の膳を運んで来た。
さすが温泉地だけに酒も美味いし魚も新鮮だった。二人は女中の酌で赤くなった。

「女中さん、向こうの部屋に、素晴らしい別嬪さんが泊っているねぇ」
「八番さんでしょう、とても美しい方ですわ。お目が早いのですねぇ」
「温泉で一緒だったのだよ。いつから泊って居るのだえ」
「三日ほど前からですけど、明日はお立ちになって山中の方へ行かれるそうですわ」
「誰かと一緒に来ているのだろう」
「年のいった方とお二人連れですわ」
「父娘か・・・」
「そうでもなさそうですよ。お妾さんと違うかと思うのですけれど、
 それにしては少し変なところがありますのよ」
「変なってどんなところなんだ」
「旦那が物を云ってもツンとして返事もしないのですよ」
「妙だなァ」
玄庵と伊助は顔を見合わせた。
旅道連越路春14
その晩の事である。玄庵ははばかりへ立った序に、八番の部屋の前に足を止めた。
もう九ッ(深夜一時ごろ)過ぎだった。曇っていたので月は見えなかった。
「いやッ、もっとそっちへ行ってください」
不意にそう云ったのはさっきの女に違いない。
「エエやないか、そんな邪険な事を云わなくても」
「いやッ、放して・・・」
「嫌なら嫌ででわしの方にも心積もりがあるよ。
 わしは何もお前を無理に連れ出した訳じゃない。
 お前のお袋が与吉の様な甲斐性のない男と一緒にして置けないと云って、
 俺に世話になりたいと、こうして連れてよこしたのじゃないか」
「わたしゃそんなつもりはない。見物がてら温泉に連れて行って遣ろうと云うから、
 ついて来ただけよ」
「男と温泉なんかへ来ればどうなると云うぐらいの事は、
 今更、生娘でもないお前にだって分かっている筈じゃないか。
 な、いいだろう、おとなしく云う事を聞くものだよ」
「ねちねちと蛇のように執拗な声音だった。

玄庵は何かじんとしたものを感じたが、行灯が消してあったので何も判らなかった。
「痛いわよ、そんなことをしても、させはしませんよ」
「弄らせて、させないヤツがあるか。
 さ、もっとよくしてやるから、ちっとの間の辛抱してじっとしていな」
乗り掛かっていたのを、女が抵抗しているらしく、ドスンドスンと悩ましい物音がした。

「おい、無茶をするな、痛いじゃないか」
「あなたが悪いのよ」
「・・・・」
「もうエエやないの、放して・・・」
「こんなことまでさせて、なんで入れさせないのだ」
「無理にするのいやなの」
「お珠、お前どうしても云う事を聞かんのなら、この前、
 お前の家に都合してやった十両の金を直ぐ返して貰うよ」
「そんなことを云ってもそんなに直ぐには返せやしませんわ」
「それならお前の処が是から商売の出来ない様に、
 酒も何も卸してやらないから、其の積もりでいろ」
「そんなひどい・・・」
「そんなら、わしの云う事をきくか」
「ちょつと待って。それなら山中へ行ってから云う通りになるよって、今夜だけは堪忍して」
「きっとか・・・」
「えぇ、きっと・・・」
「それなら今夜だけ我慢してやろう。そのかわり、お前の手でわしをいかせろ」
「それも、もう堪忍して」
玄庵はホッと思わず苦しい息を吐いた。暫く耳を澄ませたが、もう何も聞こえなかった。
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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