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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 妻には有難う!と褒めてやりたい。其の二
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妻には有難う!と褒めてやりたい。其の二

◇初めての男女関係
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それから彼女は両替機のすぐ横に立つようになりました。
バックミラーにも彼女の姿は以前より大きく映ります。そして、
嬉しいことに、彼女のミラーを見る回数が以前よりも格段に増えたのです。

彼女がミラーに向かって白い歯を見せてくれます。私も微笑み返します。
そうして私たちはミラー越しに愛を育んでいったのです。

しかし、いくら愛を育むと言っても所詮は運転手と乗客です。
バスの外で愛を確かめ合うことなど常識では考えられません。
先輩に聞いても、お客さんと深い仲になったという人は皆無です。
が、私達はそんな常識を覆したのでした。

アプローチは私の方からでした。彼女がバスを降りるとき、
まわりの乗客に気が付かないよう、そっと手紙を渡したのです。
タイミングが合わなくて、巧く手紙を手渡すのに一週間ほど掛りました。

手紙にはストレートに「付き合ってくれませんか」と書きました。
ダメでもともとだという思いがありましたから。

ミラー越しに愛を育んでいるなど私だけの思い上がりかもしれませんし、
所詮は単なるバスの運転手と乗客という関係です。
それに私達の年齢差は十三もあったのです。

交際が難しいことは百も承知でした。
ですからダメならば酒の席での笑い話にしよう。と、決めていたのです。
ところが翌日、彼女からOKの手紙をもらったのです。

あの時は、本当に嬉しかった。心が異様に興奮して、
バスを降りようとする彼女に飛びつこうと思ったほどです。
周りの乗客など無視して、抱き付きたい衝動に駆られてしまったほどです。

申し遅れましたが、彼女(妻)の名前は恵美子と言います。
恵美子からの手紙は今も大事に持っています。
恵美子も私からのラブレターを大切に保管しているとの事です。


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隣に座る恵美子の事が気になって、気になって、スクリーンに
集中するどころでは無かったのです。ですから映画館のあと
喫茶店に入ったのですが、映画の話はほんのわずかで終わってしまいました。

恵美子も初デートと言うことでかなり緊張していたらしく、映画の内容は
ほとんど頭に入らなかったということで、それを聞いたとき、
私はひっくり返るほど喜びました。そして二人して大笑いしてしまいました。

その笑いが私達の緊張を解き解してくれ、
以後は自然に会話が出来る様になったのです。

セーラー服姿しか見ていなかった私の目には、恵美子の私服姿がとても
新鮮に映りました。淡いピンクのカーディガンに、レース地のスカート姿。
とにかく可愛らしかった。妖精と言っても好いほどの可愛らしさでした。

セーラー服の時よりも、胸が大きく見えたのには少し驚きました。
歩くと胸が上下にゆっさゆっさと揺れるのです。恵美子によると、
当時八十五のCカップだったそうです。

もう一つ初デートで判ったことがあります。それは声を出して笑うと、
タレ目がさらにタレ目になってしまうということです。
それがなんともまた何とも可愛らしくて、恵美子が笑うと私は
頬杖をついてずっと恵美子の事を見ていました。

年齢差が十三も有ったことから、恵美子は私の事を「お兄ちゃん」
と呼んでいました。今でも時々、ふざけてですがそう呼ぶ時があります。

愛を育むのに年齢差は関係ありません。
私たちは来る日も来る日もデートを重ねました。
遊園地でジェットコースターにも乗りましたし、
手を繋いで映画も観ましたし、高原で恵美子手作りの弁当を食べたりもしました。
特に恵美子の弁当は、
もう頬が落ちると言う言葉では表現できないほど美味しいものでした。
恵美子の実家が料亭だったと言う事にも関係があったのでしょうか・・・。
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愛の書簡(1)

あなたの前にでると、僕は自分がひどく心の汚れた
人間の様に思われてくるのです。

僕はあなたを、女神のような人間だと敬愛しているつもなのに
それでいてときどき、どうにも悩ましくやり切れない、
自分の心をもてあましてしまうのです。

姿も、心も、あなたは女神の様に美しくありながら、
僕とおなじ時代に、おなじ人間として生きていることが、
僕の理性を狂わせてしまいます。

僕の大切な人、恵美子さんへ           隆夫


わたしが女神のようだなんて、いいえほんとうの私は魔女です。
あなたとお逢いしている時のわたしの心は燃え、
皮膚はあなたの愛撫を待ち望み、そのすぐ内側では
血潮がはげしい音をたてて流れています。

けれどもわたしは女、どんな引火力を湛えていようとも、
自分で爆発することが出来ません。
わたしはいつまでも、いつまでも、
ただ待たされているばかりなのでしょうか。   恵美子
  1. 14歳年下の女
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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