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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 一人旅の女性教師。其の一
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一人旅の女性教師。其の一

~佐世保まで~
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もう何年か前の事。激しい雨とともに春一番の強い強い風が吹き荒れている
三月中旬の午後九時頃であった。私が愛車のワンボックスカーで田舎道を
長崎に向かって走らせていた。なぜワンボックスカーを持っているかと言うと、
カーセックスの為の究極の車だからである。まあ冗談はさて置き、
その田舎道に平行してJRから切り離された第三セクターの松浦鉄道が走っていた。

走っている車は殆どなく三十分走っていても対向車全くなかった。
ある無人駅の前でリュックを背負いボストンバックを足元に置いたクリーム色の
オーバーの若い女性が手を挙げた。心優しい私は車を停めた。
その時間帯はもう列車は明日の朝まで来ないのである。
薄暗い保安灯だけの待合室の窓ガラスは所々破れていて横殴りの雨風が
室内にも吹き込んでいた。
「すみませーん。ほんとうに助かったわぁ」
「何処まで行きたいの」
「佐世保なんですが」

私は無遠慮に視線を走らせた。運転席の窓を下げた。
「私、東京から一人旅に来たんです。
 羽柴京子と言いまして高校の国語教師をしているものです」
「ああそう。長崎に戻る処だから、佐世保は通り道だけどね。
 私は寺本といって年金暮らしの自由業さ。
 スケベーで危ないオヤジだけどそんな男の車に乗って良いのかい。
 嫌なら明日の朝まで待合室で寝てた方が良いかもしれないよ」
「オジサンったら、おどかさないでよ。どう見たって紳士じゃないの」
「いいよ。危険を覚悟の上なら乗りなさい」
「まあ危険だなんで、冗談でしょう。オジサンはそんな人じゃないわね」

車を運転していたのが、きちんとスーッにネクタイを締めた老紳士であるから
信頼して乗せて貰う決意をしたのは当然であった。

一人旅と言うのは足の向くまま気の向くまま自由に行動が出来る。
団体旅行の様に、自分がじっくり見たい景色や風物もタイムスケジュールに縛られて
見たいものも見れなかった、と後悔しないで済む。
でもそこに二つの落とし穴があるのだ。

 
 m1-2
落とし穴の第一は、一人だから予約無しで何処でも泊まれると思うとそうではない。
大抵の旅館は特に女性の一人旅は歓迎しないのみか断わる事が多い。
何故かと言うと、一つの部屋に三人泊めることが出来るものを一人を泊めると
効率が悪い事と、自殺志願者との疑いである。

落とし穴の第二は、交通機関の時間である。夜遅くまで公共交通機関が運行し、
便利なタクシーが自由に使える都会からの女性の一人旅には、ローカルの旅は
予想外の不便にぶち当たる事が多い。

私は雨の中を車を降りた。娘はオーバー脱ぐと、上下揃いのピンクの服だ。
若さと女らしさがむんむんの超ミニのスカートの上は同色のジャケットに細身の
エナメルのベルトをしている。まさに春風に誘われてさまよい出た蝶が俄か雨に
降り込められたという風情だった。それに都会的なインテリジェンスが感じられる
なかなかの美人である。

「荷物は後部トランクに入れてあげようね」
私はサービスのよい自家用車の運転手みたいにリュックとボストンバックを
トランクに入れてバタンと鍵を掛けた。いわばこれはいざと言う時の質なのである。
それから親切に助手席のドアを開いて、
「さあ、どうぞ乗ってください」と言った。

羽柴京子と名乗る女性が助手席に乗り込んだのを見届けて私はドアを音高く閉めた。
そして車の前を回って運転席に乗り込んだ。
「まあ、私のためにお濡れになって・・・すみませんわ。あっ、本が・・・」
「いえ、大した事ではありません」
と言って、私はハンカチで濡れた髪を拭きながら助手席に置いていた新書版の
「日本超古代王朝の謎」を受け取った。

「あら、寺本さんは古代の歴史にご興味がおありなんですか」
「よろしかったら車中の退屈しのぎにお読みにっても良いですよ」
と京子さんに手渡した。

立って居ても太腿の半分は露出する超ミニだから、
助手席に座るとパンストを穿いていて居るものの、もう下半身はモロダシも同然である。
しかも知性的な顔とが妙にアンバランスで、目のやりばに困るほどであった。
m1-3
雨風が一段と激しくなり駅舎のそばの電線がヒューヒューと唸りを上げていた。
こんな状況の中では雨が横なぐりに振り込む駅の待合室には居たくない筈である。
私は車を車を発車させた。

「佐世保のどこの旅館か判ってるの」
「別に決めてないの。佐世保まで行けばどこか一人ぐらい泊まる処があるでしょう」
「それは甘い。どこから来たんだっけ」
「東京なんです。甘いったって一人よ。泊まる所あるでしょう」
「それが甘い。数人ならともかく一人だと泊めて呉れないものなんだよ。
 自殺志願者じゃないかと警戒されてね。JRの自由席の座席だったら
 一人の方が空席を探し易いけど旅館は違うんだよ」

私が言った自殺志願者といった言葉はとても効いたらしい。ちょっとシュンと成った様だった。
「どうしてこんな田舎に来たんですか」
観光地でもない田舎駅にどうして居たのかと言う第一の疑問をぶっつけた。

「私の祖父の故郷を見たかったからよ。そしたら帰りの電車の時間を確認してなかったし
 傘はもってないし、どうしょうかと困って通る車に手を挙げるけど誰も止まって呉れなくて、
 やっと寺本さんが停まってくださったわけよ。地獄に仏とはこのことよ」
「さあそれはどうかな。仏ではないかもしれんよ。さっきも言ったとおりスケベーなオジサンだよ。
 あまり私を買いかぶると危険だよ」
「まあ、ご冗談ばっかり。私は教師をしているから少しは人を見る目があるつもりよ」

二十九歳で高校の国語教師をしている彼女は、大企業勤めている彼氏と今年の六月に
結婚式を挙げる予定だったと言う。処が彼氏は婚約解消を一方的に宣言して
社長の娘と昨年の九月に急遽結婚してしまった。大学在学中から育んできた二人の愛が、
将来の出世という餌につられてもろくも潰え去ったのであった。

それで何だか人生が虚しくなって学校の春休みを利用して当ての無い一人旅に出て来たと
言う訳だった。京子の話が本当とすれば、もう半年近く男と遠ざかっている。
当ての無い旅と言うのも新しいアバンチュールを求めての旅なのかも知れなかった。
密かにこれは落とせるなと思った。

人を疑う事を知らない性格は確かに美点ではあるが、世の中は善人ばかりでは無いので、
余り身の上話を初対面の者にするものではない。地方の人間はみんな純朴な人間と言う
先入観が強いが、私みたいに良くない人間は何処にでも居るものである。

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  1. 極上の女体
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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