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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 女子ソフトボールチームとの親善試合。其の二
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女子ソフトボールチームとの親善試合。其の二

◇試合後の宴会◇
softball_i.jpg
「わ~い、ピッチャーばてた、ばてたぞ」
久し振りのランナー出塁に大学病院チーム側は色めきたった。
次のバッターも一塁に出た。さらに其の後も、無死満塁になった。

製薬会社チームの監督が香西聖子の交替を告げた。
リリーフ投手は打ち易そうな手ごろのボールである。
今まで香西投手のスピードボールに三振させられてフラストレーションが溜まっていた
大学病院チームは勇みたった。私に打順が廻ってきた。

私は思い切りひっばたいた。だがサードゴロだった。しまったダブルプレーかと思った瞬間、
あいたチームの三塁手の股の下を抜けた。派手なトンネルである。
大学病院側の応援団が大きな歓声を上げた。珠は転々とレフト線に転がった。
そのレフトがまた後逸したのである。それで私はサードまで達した。

ランナーを一掃して得点は十一対十で大学病院チームが再逆転したのである。
更に続くヒットで私もホームインしたが、これはヤラセだなと思った。
「なっ、俺が予言したとおりの筋書きになっただろう」
紺野事務長は嬉しそうな顔である。

接待試合というものは相手に勝たせて優越感を味あわせねばならない。
でも接待試合だからといって最初からリードされっぱなしでは面白くないので適当に競り合い、
一時的にリードさえして、それとなく負けるのが結構難しいのである。
そして、結局十五対十二で大学病院チームが勝利を収めた。

グラウンドで簡単な表彰式があった。
私は六打数五安打で最高殊勲選手に選ばれ、賞品を貰った。
相手チームは香西聖子が敢闘賞を取った。

両方の選手達はそれぞれ服を着替えた。○○製薬会社の女子選手達は私服に着替えて
お化粧するなどの身じまいをマイクロバスの中でしているらしかった。
そのうちに製薬会社の監督が我々チームの男性選手に女性選手が乗っている
マイクロバスに移乗してくださいと告げた。

目的地の旅館がある場所まで一時間ほどは男女選手が混浴ならぬ混乗である。
女性選手はそれぞれ二人掛けの座席に一人で座っているので、
男性は適当にその横に座りペアになるのである。マイクロバスは走り出した。

私は、薄緑のベストに薄茶色のエジプト壁画模様のタックスカートの私服に着替えて
微笑んでいる香西聖子の横に座った。
「香西さんの珠は凄かったですよ」
「いえ、柿沼さんにはバッドに当てられちゃいましたもの」
「いやあ、まぐれ当たりですよ」

暫くはソフトボールの話しで時間が経過していく。
マイクロバスが目的地の温泉旅館に着く頃にはそれぞれのペアが出来上がっていた。
やがて温泉に入ってソフトボールの汗と汚れを落とすと、
大広間で両チームの選手及び関係者合同の宴会になった。


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event.jpg
宴会の座席は同じ職場が固まらないように奇数は製薬会社、偶数は大学病院
という具合に職場毎にくじ引きで決定した。
男性は全員、浴衣に着替えていたが、女性は全員色とりどりの私服姿であった。

大広間の一隅には舞台があり、カラオケセットもある。
鯛しゃぶ、鯛刺、鯛めし、酢の物、天麩羅、赤だし、茶碗蒸しの献立だった。

私の左横は、相手チームのキャッチャーをしていた大沢由美という大柄な女性だった。
将を射んと欲すれば馬を射よで、私は由美との雑談の中で香西聖子の個人情報を
収集に努めた。

「香西さんは体育大でもソフト部で活躍して、うちの会社に来る前にはあの有名な
 XX製薬でエースだったのよ」
香西投手とバッテリーを組んでいるだけあって、なかなかに詳しい。
「ええっ、XX製薬といえば一流会社ではないか」
私は大袈裟に驚いて見せた。

「でも二十六歳で寿退社したものの、結婚生活は二年余りで旦那さんの
 交通事故死で破綻し、生まれた男の子は夫側に引き取られて、
 うちの会社に再就職で入ってきたわけよ。お化粧が上手だから若く見えるけど、
 香西さんはもう三十二歳なのよ」
由美は聞き上手の私の策に乗り、いろいろ裏話を聞かせてくれる。

「えーっ、バツイチの未亡人投手に我々はきりきり舞いさせられているわけか」
「そうなのよ。でも本気を出して相手チームをシャットアウトするような
 勝ち方はしてはいけないの。勝つつもりなら香西さんに先発完投させれば良い訳でしょう。
 そこが宣伝部なの」
「しゃあ、途中でコントロールを乱したのも演出かい」
「そうよ。あのままでは三振の山で相手は面白くないでしょう。
 でも香西さんにきりきり舞いするのは昼間のソフトの試合だけではないのよ。
 ナイターもすごいのよ」
「ナイターってなんだい?」
「それは秘密だけど内緒で教えてあげるわ。私達のソフトチームは大抵一泊どまりの
 宴会つきでしょう、その意味お分かりになりますかしら」
「わからないなぁ」
「香西さんは、試合の後で意気投合した対戦相手チームの男性を部屋に呼んで、
 “お祭り”するのが楽しみなの。バットやボールの扱いは慣れたものよ」
「君も、巧いんだろう」
「そこそこにね。よかったらあとで私とお手合わせなさいますか。
 私は香西さんと同じ二人部屋なのよ」
「そう、じゃダブルヘッダーといくか」
「そんなスタミナあるの」
「俺はちょっと他を廻ってくるからな」私はそれだけ聞けば充分だった。
そろそろ席が乱れてきたのを幸いに、香西聖子の席に移った。
sit-yosd.jpg
聖子は、暑くなったのかベストを脱ぎ捨て、タックスカートを広げる形で横座りして
鯛しゃぶの身を箸の先でつまんでいた。
「あら、私のボールにバットを当てた柿沼さん、いらっしゃい」

暫くは意図的に聖子の高校、大学、そして社会人時代の栄光に満ちた話題に持っていった。
聖子は盃でチビチビ酒を飲むのはまどろっこしいとて、
ビール用だったコップで私の差す徳利の酒を豪快に受けた。

私はすでにペニスを堅く大きく勃起させていた。話が一段落したところで、私は、
「どうだい。俺とナイターしないかい」
「ええっ」聖子はしばらく私の顔をじっと見詰めていた。
そして意味ありげに唇の端をゆがめて微笑した。

「柿沼さんは、本当にあっちの打撃に自信あるの」
聖子はそう言って、視線を私のズボンの前の膨らみに落とした。
「あるよ。なんなら、バットを握らせようか。
 トイレに立つふりをしてちょっと舞台の袖のカーテンの陰に来てご覧」
まだ宴はたけなわにはなっておらず、半開きの黒いカーテンに隠れる舞台の袖には
人が居なかった。聖子がやってきた。

「目をつぶって、へその上に両手で頂戴をする恰好をしてごらん」
私はずっしりと持ち重りのするペニスを聖子の両手の上に載せた。
「まあ、太いのね」
聖子は目を瞑ったまま即座に言った。
相当に男のバットを握りつけた女でなければ吐けない言葉であった。

「目を開けて良いよ」
青い静脈が浮き出て節くれだった太い肉幹の先端に、
それよりも大きな赤紫色の雁がピカピカ光っていた。

「頼もしいわ。夜の十二時半に私の部屋に遊びに来てね。部屋番号を教えるからさ」
セックスの快楽を味わった事のある女性は、性愛の局面ではシビアな現実主義者である。
どんなに抽象的な甘い言葉で囁こうとも、自分の手で握り締めた太いペニスの感触には
勝てないのだ。聖子は一瞬にしてメロメロになってしまった。

「部屋には仲間も一緒なんだろう」
「気にしない気にしない。キャッチャーをしていた由美と同じ部屋なの。
 由美もきっと男を引っ張りこんでいると思うからおあいこよ。
 そうでなかったら私と由美とダブルヘッダーなさっては如何かしら」
  1. 役得
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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