異性を誘う匂い。其の四
◆本能で求め合う二人
部屋の灯りをすこし暗くして蒲団に入り、私はすぐ裸になりました。
そしてキスをしながら、彼女の浴衣を脱がせてゆきました。
女の体とはこんなにも柔らかいものかと驚きつつ、初めて触れる彼女の乳房は、
掌から溢れでそうなほど豊かでたわわな弾力に満ちていました。
脇の下に鼻を寄せてゆくと、つーんとあの懐かしい花の蜜の匂いを濃密に溢れさせていました。
この匂いに引き寄せられてとうとう此処まで辿り着いたのかと、涙の零れそうな感慨がありました。
唇を押し当てた侭、ひししと抱き竦めました。
その時彼女もまた、私の頭を抱えながらこう言ったのです。
「あんたの汗の匂い、好きやわ」
「えっ?」
私は、べつに腋がでもないし、自分の汗の匂いに特徴があるなんて感じた事もありません。
もしかしたら男も女も、お互い異性の匂いには、
当人が思う以上に敏感に嗅ぎ分けて居るのかも知れません。
そうして私達は、その匂いに引き寄せられるようにして結ばれていったのかもしれません。
心よりもまず体に魅かれあったとしたら、しかもその外見ではなく匂いだなんて、
犬や猫みたいですよね。しかしだからこそ、運命的な出会いだとも言えるわけで・・・。
彼女の汗は、私の汗よりもずっと甘い味がしました。
いや、そのように感じるだけかもしれません。男と女の関係は、本当に不思議です。
童貞のくせに私はもう、彼女の体にたいしてだったら、どんなにイヤらしい事だって
躊躇うことなく仕掛けてゆけるような気がしました。
むっちりとした両の太股を肩に担いで大きく開かせて私は、
粘り気のある潤みに覆われた秘唇を、いきなり舐めしゃぶってゆきました。
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恥ずかしいと口では言いながら彼女も、悩ましくも実にイヤらしい腰のくねらせ方をして、
私を煽り立ててきたのでした。
「ああ、どうしょう。こんなの初めて」
思わず洩らした彼女の言葉。という事は、私が初めての男ではないと言うこと。
が、それはもう如何でもいいことで、むしろ私を一人前の男として認めてくれていることが、
とても嬉しく感じました。
「ほんとに、結婚しような」
そう言って私は、さらに狂おしく粘つく秘唇をしゃぶり立ててゆきました。
汗よりももっと濃密で生臭い愛液の匂いに、頭の芯がじんじん痺れました。
次から次へと溢れてくる粘り気を舐め啜ってゆくうちに、
しだいに潮の香りが混じってきて、それもまた私を歓喜させ、さらに奮い立たせました。
そのぬかるむ花芯の中にペニスは、ずぶっと小気味よいほどの勢いで埋まってゆきました。
「あああっ、いや、いやあっ、かんにんよお」
私をひしと抱きすくめて彼女は、大きな波のうねりのように肉厚の腰を揺さぶり続けました。
私のペニスは早々と一回目の射精をしてしまったのですが、それを取り囲む肉の襞が
ひくつきながらきつくきつく締め付けてきて、硬さは其のままで忽ち二回目の射精へと
いきり立ってゆきました。そうして熱いぬかるみの中で思う存分抜き差しを繰り返して
果てたのですが、それでもまだ肉の壁を押し返さんばかりに力を漲らせていました。
「ああ、ほんとにもう堪忍やて。どないしょう。わたし、腰が抜けてしまいそう」
「ええやないか。一生の記念の夜やもん。俺、ぜったい頑張るさかい」
「ああん、もうがんばらんでもええがな、あああああ~~」
私が、がんばる、と言ったのは、もう一度学問に腰を据え直すという意味でしたが、
彼女も堪忍と言いながら尚も強く腰を打ち震わせて、私の体を揺すり立ててきたのでした。
私達は、その二年半後に結婚しました。その間に私は博士号を取得し、
講師になってどうにか人並みの暮らしが出来る身分になっていました。
永すぎた春、と言うのはそのころ流行り始めた言葉ですが、
私達には無縁でした。心と心以上の何かで結ばれていたのだと思います。
お互いの匂いに魅きつけられたオスとメスだった。と言えば何やら不潔で
浅はかな関係に思われそうですが、私が学問への道に踏み留まる事が出来たのは、
結局妻の優しい励ましがあったからこそでした。
妻は、賢い女です。そして人一倍思いやりの深い女でもあります。
とは言えそれだけで私が彼女との結婚を決意したかと言えば、そうではなかったでしょう。
やはり、あの甘くやるせない匂いがあったればこそでした。いや、その両方と言うことでしょうか。
妻のお陰でその後の学究生活も順調で、何本かの論文も世に出し五十歳前に教授の
地位まで辿り着きました。そして夫婦の営みはと言えば、五十代では週二回のお努めをこなし、
六十代に入ってからも週一の交接は続けております。
普段は真面目な学者の顔を崩そうとしない私ですが、いざベッドに入って隣の妻の体の
匂いを嗅ぐと、途端にケダモノに変身してしまうのです。妻は子供を三人産んでその前後は
多少匂いも変わったりしたのですが、すぐにもとの匂いが戻ってきて私を安心させました。
あれから四十五年経ってまた、私達が出会った冬がやってきました。
金曜日の夜のベッドで、妻の裸の胸に顔を埋めていると、
京都のあの喫茶店ですれ違った時のときめきがまざまざとよみがえってきます。
犬や猫みたいな夫婦だと思われようと、、私達なりに心のつながりもやはりあるわけで、
だからこそ今でも夫婦の営みが出来るのです。いやそれ以上に、
匂いだって文化なのだ、と私は思っています。
END
部屋の灯りをすこし暗くして蒲団に入り、私はすぐ裸になりました。
そしてキスをしながら、彼女の浴衣を脱がせてゆきました。
女の体とはこんなにも柔らかいものかと驚きつつ、初めて触れる彼女の乳房は、
掌から溢れでそうなほど豊かでたわわな弾力に満ちていました。
脇の下に鼻を寄せてゆくと、つーんとあの懐かしい花の蜜の匂いを濃密に溢れさせていました。
この匂いに引き寄せられてとうとう此処まで辿り着いたのかと、涙の零れそうな感慨がありました。
唇を押し当てた侭、ひししと抱き竦めました。
その時彼女もまた、私の頭を抱えながらこう言ったのです。
「あんたの汗の匂い、好きやわ」
「えっ?」
私は、べつに腋がでもないし、自分の汗の匂いに特徴があるなんて感じた事もありません。
もしかしたら男も女も、お互い異性の匂いには、
当人が思う以上に敏感に嗅ぎ分けて居るのかも知れません。
そうして私達は、その匂いに引き寄せられるようにして結ばれていったのかもしれません。
心よりもまず体に魅かれあったとしたら、しかもその外見ではなく匂いだなんて、
犬や猫みたいですよね。しかしだからこそ、運命的な出会いだとも言えるわけで・・・。
彼女の汗は、私の汗よりもずっと甘い味がしました。
いや、そのように感じるだけかもしれません。男と女の関係は、本当に不思議です。
童貞のくせに私はもう、彼女の体にたいしてだったら、どんなにイヤらしい事だって
躊躇うことなく仕掛けてゆけるような気がしました。
むっちりとした両の太股を肩に担いで大きく開かせて私は、
粘り気のある潤みに覆われた秘唇を、いきなり舐めしゃぶってゆきました。
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恥ずかしいと口では言いながら彼女も、悩ましくも実にイヤらしい腰のくねらせ方をして、
私を煽り立ててきたのでした。
「ああ、どうしょう。こんなの初めて」
思わず洩らした彼女の言葉。という事は、私が初めての男ではないと言うこと。
が、それはもう如何でもいいことで、むしろ私を一人前の男として認めてくれていることが、
とても嬉しく感じました。
「ほんとに、結婚しような」
そう言って私は、さらに狂おしく粘つく秘唇をしゃぶり立ててゆきました。
汗よりももっと濃密で生臭い愛液の匂いに、頭の芯がじんじん痺れました。
次から次へと溢れてくる粘り気を舐め啜ってゆくうちに、
しだいに潮の香りが混じってきて、それもまた私を歓喜させ、さらに奮い立たせました。
そのぬかるむ花芯の中にペニスは、ずぶっと小気味よいほどの勢いで埋まってゆきました。
「あああっ、いや、いやあっ、かんにんよお」
私をひしと抱きすくめて彼女は、大きな波のうねりのように肉厚の腰を揺さぶり続けました。
私のペニスは早々と一回目の射精をしてしまったのですが、それを取り囲む肉の襞が
ひくつきながらきつくきつく締め付けてきて、硬さは其のままで忽ち二回目の射精へと
いきり立ってゆきました。そうして熱いぬかるみの中で思う存分抜き差しを繰り返して
果てたのですが、それでもまだ肉の壁を押し返さんばかりに力を漲らせていました。
「ああ、ほんとにもう堪忍やて。どないしょう。わたし、腰が抜けてしまいそう」
「ええやないか。一生の記念の夜やもん。俺、ぜったい頑張るさかい」
「ああん、もうがんばらんでもええがな、あああああ~~」
私が、がんばる、と言ったのは、もう一度学問に腰を据え直すという意味でしたが、
彼女も堪忍と言いながら尚も強く腰を打ち震わせて、私の体を揺すり立ててきたのでした。
私達は、その二年半後に結婚しました。その間に私は博士号を取得し、
講師になってどうにか人並みの暮らしが出来る身分になっていました。
永すぎた春、と言うのはそのころ流行り始めた言葉ですが、
私達には無縁でした。心と心以上の何かで結ばれていたのだと思います。
お互いの匂いに魅きつけられたオスとメスだった。と言えば何やら不潔で
浅はかな関係に思われそうですが、私が学問への道に踏み留まる事が出来たのは、
結局妻の優しい励ましがあったからこそでした。
妻は、賢い女です。そして人一倍思いやりの深い女でもあります。
とは言えそれだけで私が彼女との結婚を決意したかと言えば、そうではなかったでしょう。
やはり、あの甘くやるせない匂いがあったればこそでした。いや、その両方と言うことでしょうか。
妻のお陰でその後の学究生活も順調で、何本かの論文も世に出し五十歳前に教授の
地位まで辿り着きました。そして夫婦の営みはと言えば、五十代では週二回のお努めをこなし、
六十代に入ってからも週一の交接は続けております。
普段は真面目な学者の顔を崩そうとしない私ですが、いざベッドに入って隣の妻の体の
匂いを嗅ぐと、途端にケダモノに変身してしまうのです。妻は子供を三人産んでその前後は
多少匂いも変わったりしたのですが、すぐにもとの匂いが戻ってきて私を安心させました。
あれから四十五年経ってまた、私達が出会った冬がやってきました。
金曜日の夜のベッドで、妻の裸の胸に顔を埋めていると、
京都のあの喫茶店ですれ違った時のときめきがまざまざとよみがえってきます。
犬や猫みたいな夫婦だと思われようと、、私達なりに心のつながりもやはりあるわけで、
だからこそ今でも夫婦の営みが出来るのです。いやそれ以上に、
匂いだって文化なのだ、と私は思っています。
END
- 妻(夫)を語る
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comment
ご挨拶
Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。
生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。
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「ポルノ」のみを指しているのではなく、
社会通念上、
18歳未満の者が閲覧することが
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全般を指します。
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