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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 良寛と貞心尼。其の二
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良寛と貞心尼。其の二

四季綾乃
彼が着任した年の秋、恒例に成っている慰安旅行の宴会の後、
旅館のみやげ物売り場でブローチを見ていた私に近寄ってきた修三が、
「どれがいいの」と聞くので何気なく「これ」と指差した品を店員に取り出させると
私の手に渡しました。

ハナエ・モリ作の金銀細工の蝶のブローチは、羽の繊細な出来が素晴らしく、
私が思わず「いいわ」と呟いている間に、彼は部屋のキーを出して、
「これ貰うよ」と店員に告げていました。この旅館での買い物は部屋のキーで
処理されてチェクアウトの時に精算するシステムに成っていたのでした。

「こんな高価なもの」と私が戸惑っている間に修三は「包まなくていいから」と
ケースを握らせ、「記念にね」と笑いながら部屋に去りました。

それから間もなく、時々お茶に誘われる様に成った私が
5年ぶりに男性に唇を許したのは月末で残業をして仕事が終わり
「遅くなったから送って行くよ」と私をタクシーに乗せた彼に、
私の部屋を見せると言った夜でした。

この一年の間に修三の仕事振りと、年を感じさせないセンスのよさと、
温和な人柄が、長い独り身の、ふと老いを感じる私の心を
何時の間にか占めていたのです。貞心尼が20歳も年上の良寛様に
魅かれたのも同じような気持ちではなかったでしょうか。

すすめられる侭についお酒を過ごして、
離婚してから二人の子供を何とか一人前に育て、遮二無二働いて来た事を
夢中で語っていた私は自分の言葉に酔っていました。

夜独りマンションの部屋の鍵を開ける寂しさを彼に告げて居る時、
私は此の儘彼とそこに一緒に帰るように錯覚していました。でも修三は、
玄関に立ったまま部屋を見渡して、帰ると言うのです。

私は思わず彼の手を取り、
「お茶でも・・・」と呟きながら玄関の土間で修三に飛び付いていたのです。
抱かれて口付けされて夢中で彼にしがみ付いていた私に、
孝雄は「戸締りを・・・」と、そっと声をかけて出て行きました。

エレベーターまで送るのも気付かず暫く玄関に座り込んでいました。
体中の力が抜けて、バスにお湯を入れる間もうつつでしたが、
脱いだパンティの中心がべっとり濡れているのに気が付き、
独りで顔を赤くしてしまった事を覚えています。


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北原夏見
バスタブの縁に頭を乗せ、私は重みの有る両の乳房を揺すって悶えました。
何時の間にか、右手が恥ずかしい処を這い、開き、溢れてくるものと、熱いお湯が
混ざるにまかせて固く尖ってきたものを擦り、指を入れてしまいました。
男を絶つと誓ってから5年、五十前にしても体が熱くなる夜はありましたが、
自分で触れる等と言う事は有りませんでしたのに、修三との口付けが体に火をつけて
しまったのでしょうか。私はバスタブの縁を跨ぎ、そこに押し付けて腰を振り立て、
彼の名を呼びながら果ててしまいました。

其の夜は、はしたないと自分を責めながら、布団を両脇に挟み悶々と明かしたのです。
眠れない儘に翌朝、何時もより早く出た私は、若い娘のような気持ちで赤いバラを買って、
修三のデスクの花瓶の花と取り替えました。事務所の女の子が、
「山田さん、今日は何か生き生きしてますね」
と言ったのは、少し濃い目のルージュのせいばかりではないと思いました。

昼、お茶を持っていった私に修三は、「綺麗な花を有難う」と言ってくれましたが、
昨夜の事には触れません。私が傍に寄り小声で、「昨夜はご馳走様でした」と言いますと、
「いや・・・、それより今度の休み、時間とれる?」と聞くのです。
私は思わず体が熱く成るのを覚えながら、「ええ、いいです」と答えていました。

良寛と貞心尼が初めてデートした時に交わしたのであろう歌が残っています。
貞心 「君にかく 逢い見る事の 嬉しさも まだ覚めやらぬ 夢かと思う」
良寛 「夢の世に 克まどろみて 夢をまた 語るも夢も それのまにまに」

二日後、彼からそっと渡されたメモには、
その休日の待ち合わせ場所と時間が書かれていました。其の日は美術館で絵を観た後、
食事に誘われました。都心とは思えない料亭での二人きりの食事は豪華でしたが、
私は上の空で頂きました。

食後、障子窓を開けて彼は、「来てご覧」と呼びます。三階の部屋の下には河が流れ、
向かいのビルにはぽつぽつ電気が点り始めて綺麗です。
後ろに回った修三の両手が私の乳房を押さえ口がうなじを吸い、耳元に、
「綺麗だよ、千恵美、愛しているよ・・・」
と囁かれた時、私は立っているのがやっとでした。

信じられないほど、料亭に近いところにラブホテルが有りました。
修三は手馴れた様子で部屋のカードを取るとエレベーターに誘います。
十二、三年前、よく使った頃の部屋とはまるで違う豪華な調度と、
広いガラス張りの浴室に、べっどの真上の鏡などを目にした私は、
思わず枕元に駆け寄り幾つかの照明を懸命に消していました。
  1. 異形の性愛
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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