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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 若い性を共有する享楽夫婦。其の六
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若い性を共有する享楽夫婦。其の六

◇四人だけの宴◇
若い性を共有15
親睦会と銘うって、夫が私と原島豊、川西麻子を一堂に集めて
酒宴を開く事が屡有りました。不倫をしている者同士二組が顔をあわせるという行為は、
私達夫婦にとっては中々興味深く、かつ刺激に富んだ戯れだったのです。

その一方で、原島と川西麻子の心境はかなり複雑だったに違いありません。
私達夫婦と酒を飲みながら、彼等は何時もどこか落ち着かない様子でした。

私達は毎回、夫の行きつけの小料理屋で酒宴を催していました。
座敷の個室を借り切り、テーブルを挟んで私と原島、夫と川西とが隣り合わせに
座る様夫が段取りしたものでした。

「そろそろ、原島君も身を固めんといかんな。やはり家庭がしっかりしていないと、
 男は仕事に打ち込めないよ。田舎のご両親も心配していらっしゃるんじゃないか?」
酒宴となると、決まって夫は原島の結婚話を持ち出しました。
すると、これまた約束のように原島はこう答えるのでした。

「はあ・・・。しかし、なかなか良い人が見つからなくて、
 社長のお宅を見ていると、本当に羨ましくなるのですが、
 奥さんのような方がいれば、何時でも結婚したいと思ってます」

そう大胆に言い放ったあと、必ず原島は私に意味有り気な視線を送ったものです。
この視線にぶっかると、私は柄にもなくドキマギしてしまいました。
「ほう・・・ウチの女房が理想なのかね。こりゃあ、原島君も目が高い。
 私もこいつと結婚して、本当によかったと思っているんだ」

冷やかすように夫に見詰められると、こんどはイタズラを見つかった子供よろしく
首をすくめる私でした。私を挟んで男二人が火花を散らしているさまは、
けれど何とも快いものでした。

「お年頃と言えば、麻子ちゃんももう二十三だったわよね。どうなの、結婚の予定は?」
次は私が川西麻子をからかう番でした。
矛先が自分に向けられると、忽ち麻子の雪白の頬が紅潮し、
「私も・・・、まだ結婚なんて考えていません」
「まあ、あなたほど可愛らしい人に、恋人がいないなんて信じられないわ」


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若い性を共有16
驚いたように私はわざとらしく麻子を夫と交互に見やりました。
麻子はただ俯くばかりで、夫はニヤニヤ笑うだけでした。
夫と私は、二人にしか分からない目配せを送り合っていました。
(あなたって、本当にいけない人ね。こんな純情な女の子を夢中にさせてしまって・・・)
(おまえこそ、やるじゃないか。原島はおまえに首ったけだぞ)

私たちはこの心理ゲームを心の底から楽しんでいました。
何も知らない若者二人の肉体ばかりか、心までも夫婦間の刺激剤として
弄んでいたのです。本当に悪い夫婦です。

「しかし何だな、こうやって見ていると、原島君と麻子ちゃんは結構お似合いなんじゃないか」
「そうね。年も釣り合いがとれているし、ふたりとも美形だし・・・」

私達が口を揃えると、原島も麻子も憮然とした表情になりました。
まったく、若者というのはどうしてこうも可愛いのでしょうか。
さらにトドメを刺すように、夫が言い放ちました。

「おまえ達が結婚する事になったら、オレ達夫婦が仲人になってやるからな」
「本当よ、まかせといて」
すると、隣りにいる原島が私の太腿をギュッと抓りました。
テーブルの向こう側でも、麻子が夫の太腿に同じ事をしていたに違い有りません。

酒宴が終わった後、私と夫はラブホテルに寄ることを習慣にしていました。
酒宴の興奮を引きずったまま、
私たちは新婚当時の情熱をホテルで狂おしく甦らせるのでした。
END
  1. 夫婦生活の知恵
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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