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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 お師匠はんに仕えて三十年。其の二
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お師匠はんに仕えて三十年。其の二

◇茶事に招かれた客◇
一期一会04
「お師匠はん、よろしいおすか?」
「かまへん」
「へい、ほなら」
お師匠はんを布団の上に横たえて、浴衣を体に掛けます。
座敷の片隅にある化粧台からティッシュを摘み取り、
膝をついてお師匠はんの太腿を覗き込みます。

「ごめんやす」
お師匠はんは無造作に立て膝にしはります。
愛液にまみれた観音様を、ティッシュで丁寧に拭いて差し上げるんです。

「勘弥、おまえ、まだか?」
お師匠はんが物憂げに首を傾け、私の股間を眺めながら言いはりました。
「へい、へへっ、そやけど、よろしゅうおす、こんなもん」
「そんな大きいしたままで、帰るんか?」
「もうそこまで元気なことおへんわ」

「上のほうも気持ち悪い、拭いてんか」
「へい」
オサネの辺りを拭く私の密かな喜び、
「せっかくや。それ土産にあげるわ」
「へ?」
「あんたの嫁はんには、私からや言うてなぁ。なんやったら毛絲でもつけようかいな」
「そんな無茶な」

よほど自分で言うた冗談がおかしかったんでしょうな。
お師匠はん気持ち良さそうに笑いはりました。
毛絲なんかつけてもろうたら困ります。
すぐに萎えてしもうて、家に帰って女房の顔を見る頃には、
小便だけのみすぼらしい道具に落ち着いてしまうんですから。

「ええか、勘弥、四日やで」
お師匠はん、また繰り返しはりました。
「へい、承知いたしております」
「大事なお客や、頼むで」
「へい」
「掛け軸も新しいもんがええ」
「明日にでも運ばせます」
「墨跡よりも絵がええなぁ」
「承知しました」


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一期一会05
なるべく説教臭い膝の疲れる話は書かんようにしますが、少しは辛抱してください。
十一月四日の茶事。それに招かれたお客とお師匠はんの関係を通して、
私との関係をも書くつもりですよって、(茶事)とは、簡単に言いますと、
少ない人数のお客様を招待し、濃茶を主に、懐石料理、初炭、後炭、
最後に薄茶をだすもてなしを言います。

ここで少しお師匠はんと私の立場について触れておかんと話しが混乱しますな。
お師匠はんはある茶道の流派のご本家であらせられるお方です。そして私はその本家へ、
先代の時代から道具を納めさせて頂いている茶道具屋の主であります。

「坪井、ようでけたな」
露地への案内を待つ待合へ、白湯と香煎をおだしした私に、
身支度を整えはった社長はんが声を掛けてくださいました。

仮名をつけるのも憚るお方。ある製薬会社を経営なさっている方とだけ書いておきます。
白紋付に袴が良くお似合いの恰幅のいい社長はんの隣りには、
やはり無地の白紋付のお召しがようお似合いのご夫人と、
うら若き女性が微笑んで座っておられます。

「よろしゅうお願いします」
「坪井さん、頼みますわ。なにしろこの娘は正式な茶事は初めてですよってなぁ」
「滅相もない、こちらこそ」
天気にも恵まれました。支度が整い、
躙リ口(にじりぐち・ 茶室特有の小さな出入り口)の十の手掛かりを切って客を迎えます。

社長はん、奥様、お嬢さんが露地口に出はって、露地草履に履き替えられます。
膝を落とし、草履を揃えるお嬢さんを見て、
やっぱり血は争えんもんやとつくづく思いました。

「坪井」
「なんどす?」
社長はんとも長いお付き合いですよって、肩の張らん調子でお話ししてくれはります。
「もうこの囲いもどれくらいになる?」
用意が整った腰掛けの円座へお座りになると、
社長はんが庭の風情をご覧になりながら言いはりました。

「そうどすなぁ、まだ先代の社長がお元気やった頃ですよって、二十年ほどでっしゃろか」
「そうか、もうそないになるかなぁ」
そないになるんです。お師匠はんの座掃き、蹲踞の水を替える音を聞きながら、
社長はん、遠い目をされておりました。

(蹲踞・つくばい・とは日本庭園の添景物の一つで露地(茶庭)に設置される。
 茶室に入る前に、手を清めるために置かれた背の低い手水鉢に役石をおいて趣を加えたもの。
 手水で手を洗うとき「つくばう(しゃがむ)」ことからその名がある。
 相撲では“蹲踞(そんきょ)の姿勢”等と読む)
一期一会06
私も表情にこそ出しはしませんがお師匠はんのお側に仕えて、
苦労したあの頃のことを思い出しておりました。

「勘弥、うち死ぬ」
鬼女のような顔でそう叫びはったお師匠はんの顔、今でも脳裏に焼きついております。
私が男盛りの四十、お師匠はんが三十になるかならずの夏でした。

「なに言うてはりますのや。やや子くらいでそんな弱気になってもろたら困ります」
今でもはっきり脳裏に焼きついております。お師匠はんの大きくせり出した腹、
病院でも産院でもありません。場所は大将軍の小さな借家、茶屋でありました。
鉄瓶ではお湯が沸き、お師匠はんは布団に仰向けになって苦しんでおられました。

「なんで・・・なんでや・・・なんでうちばっかりがこんな・・・」
其の当時、お師匠はんは社長はんと交際してはりました。
茶道は古いしきたりに縛られている狭い世界です。社会的にもよく知られ、
妻子もある社長はんとの恋が知れたら大問題になります。

ことにお師匠はんは家元を継承した直後でもあり、財団の管理、全国にある流派の
組織の事を考えると、どうしても秘密にしておかなあきませんでした。
詳しくは書きませんが、この世界には各流派との熾烈な暗闘があり、
少しでも弱みを握られると致命傷になりかねないのです。

ことにうちの流派は美人家元の評判もあって風当たりも強く、社長さんとの逢瀬は、
茶室の中だけに限られるという厳しさどした。しかしそんなお師匠はんもついには妊娠。
それを世間の目から隠すのにどれだけ苦労したことか。

「勘弥、うち死ぬ、もうイヤ嫌っ!」
「お師匠はん、辛抱しとくれなはれ」
私は若い頃からずっとお師匠はんのそばにお仕えしておりました。
元々は親父のやっておった道具屋という商売を嫌っておったんです。

学生の頃は実家が大将軍にあったもんですよって、映画界に憧れとったんです。
ところが親父の死で稼業を継ぐ事になってしもうた。継ぐと言うても目利きの修行は
していない素人同然の私。それやったら商売にならんやろうと心配して声を掛けて
くれたんがお師匠はんのお父様。つまり先代の家元やったんどす。
私は家元のお側で目利き、茶道の修行をさせてもらえました。
お師匠はんは当時、まだ十歳のかわいいお嬢さんどした。

「お師匠はん、もっと気張って」
「ああっ!」
今でも目に浮かぶようにはっきりと覚えています。
床の間には墨跡。荒壁、藤づるで化粧した木舞の片流れの屋根裏、
奉書をはった太鼓張りの襖、皮付きの丸太で細工したかまち、
釣棚、三番台目の神聖な囲いを私とお師匠はん血で汚してしもうたんです。

「お師匠はん、もっと、もっと!」
「勘弥ぁ!」
わざわざ明石まで足をのばして産婆に話しを聞き、私はお師匠はんの出産を
この手でやったんです。畳に油紙を敷き、布団に寝かせたお師匠はんのあそこから
子供を取り上げたのです。
「お師匠はん、ゆっくり、大きく息をして」
「ああああっ!」
  1. 合縁奇縁
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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