時代小説・旅道連越路春。其の十八
*表題は『旅は道連れ越路の春』と読む。
(柏崎の刈羽黒姫山)
◇妻に裏切られた男の話
「あんまりいい気持じゃないのう、伊助」
「それでも先生、取られたものがけえったのですから、あっしゃすーッとしましたよ」
「そう云えばそんなもんだなぁ、ハッハハハ・・・」
やがてその日は姉崎で泊まり、その翌日は柏崎の篠田屋傳兵衛方に泊まった。
夕食は何時もの通りでお粂と云う女中に酌をさして玄庵も伊助も十分に酩酊して
別々の部屋で枕についた。
ところが暫くすると、隣の部屋でヒソヒソと話し合っている男女の声が聞こえてきた。
.それが気に成って玄庵は眠れなかったし、例の好色な好奇心もきざしたので、
そっと足音を盗んで廊下に出ると、障子の隙間から覗いて見た。
すると部屋の中では、玄庵の想像を裏切って、
男女が差し向かいで行儀よく話し合っている。玄庵は案に相違して失望したが、
よく見ると女は宵に給仕させた女中のお粂だった。それに二人共泣いているので、
"こいつはお安くない、どうせ泣いた挙句は抱き合って見ていられぬような場面を
展開するのは知れている”玄庵は胸をときめかせて覗いていると、
やがてお粂は立ち上がったので、驚いた玄庵はあわてて部屋に逃げ込んだが、
そのまま出て行った女は、再び部屋に戻らなかった。
あくる朝、お粂が朝の膳を運んできたので、
「お粂さん、昨夜はお楽しみだね、お陰ですっかり眠れなかったよ」
と云うと、女はちょつと顔を赤らめて、
「済みません、でもあれはあたしのいい人とは違いますわ、弟ですのよ」
「何だ、弟さんか、しかし泣いたりなんかしてお安くなかったぜ」
「実はねぇ旦那、弟は家出して来て、行き先がないので泊めてやったのですわ」
「そりやまたどうしたと云うのだな」
「それがねぇ旦那・・・」
それから彼女の話したところによると、彼女の弟は要次郎と云うのだが、
二人はこの柏崎で相当な家に生まれたのだが、家が没落してから、
要次郎は伯父の沢田屋伊兵衛に引き取られ、彼女は転々として
今はこの宿の女中に成っているのだった。それから要次郎は年頃になって、
伯父には子供がなかったので、五日町の方から澄江と云う妻を貰った。
ところが半年ほどして伊兵衛の女房が死ぬと、それから暫くして、
澄江の要次郎に対する態度がすっかり変わってしまった。
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それまでは夫婦仲もよく夜毎の閨房でも澄江のほうから持ちかけてきて、
二度も三度もせぬと気に入らぬ程交合の好きな澄江が、その時分から少しも
持ちかけて来ぬのみか、要次郎が堪えかねて挑んで行っても、
「あたし今夜は疲れているから堪忍して」
と割り込もうとする要次郎を押し退けるようにして、くるりと身体を向こうにむけるのだった。
若い要次郎はそうされると一層情欲が昂ぶってなおも挑んで行くと、
澄江はぷいと起き上がって部屋を出て行くのであった。
ある晩同じように澄江が出て行った後で、要次郎は腹が立って眠れず、
どうせ何処かの部屋でふて寝をしているのだろうと思い、自分も起き上がって、
二階にそっと上がって行ったが何処にも居ないので、階下へ下りて、
もしやと離れの伯父の部屋の障子際に立った要次郎はハッと頭の中の血が
一時に足元に引いたが、たちまちそれが逆流した。
聞き慣れた澄江の断末魔のような、よがり泣きの声が聞こえたからであった。
要次郎はガクガク震える足を踏み堪えて障子の隙間から覗くと、何と丸裸になった
伯父の伊兵衛の胡坐した腿の上に、これも丸裸になった澄江が左右の腿を拡がるだけ
大きく拡げて乗り跨って、その陰門に伯父の真っ黒に淫焼けした男根を、根元まで一杯に
咥え込みながら、ズボズボゴボゴボと障子の外まで聞こえる程の鳴音を立てていた。
二人の首には赤い澄江のしごきを結んだ輪が掛かっている。
そうして互いに其れを引き合いながら、身体を反らせて、淫水の流れる陰門に、
男根の出入するのを見ながら抜き差しして、汗を流しているのだった。
二人が気をやってしまうまで見届けて寝床へ戻ったが寝るどころではない。
それに澄江のあのすさまじい姿態を見、ヨガリ泣きする声を聞いてからは、
かって自分との間にはあれ程の烈しい取り乱し方が無かっただけに、
云い様の無い嫉妬を感じた。その嫉妬は澄江の肉体への魅力となった。
要次郎は澄江に対しかって覚えぬ程堪え難い欲情を感じた。
やり場の無い欲情の亢進で朝まで眠れなかった。
要次郎は相手が恩義有る伯父だけに眼を瞑る変わりに、
澄江の身体で納得しようとしたが、要次郎が熱く成る程澄江は冷たくなった。
そうして等々居た堪れなくなって家を飛び出して来たと云うのだった。
(柏崎にある日本一海に近い青海川駅 )
成る程、聞けば気の毒だった。
玄庵は朝食を済ましてから要次郎に逢って仔細に話を聞くと、
家出はして来たものの女には十二分未練があるらしく、どんな事に成っても
女さえ得られたら、伯父の財産なんかには聊かも執着がないと、そう云うのだった。
玄庵は考えた。女は年の若い要次郎を捨てて、老人の伯父につくのは、
要次郎の道具が小さいか、交合の技巧が下手で満足できず、巨大な男根と
老獪な技巧で女を喜ばせる伊兵衛の方に心を傾けて居るのに違いない。
それだと幾ら要次郎がカリカリになっても尋常一様の手段ではいかぬ。
だから伊兵衛よりは一層魅力のある男根で女を喜ばせた上で、
一旦伯父の家をしくじらせ、其の上で要次郎に女の満足するような手段を教えてやって、
澄江が男に飢えて欲情の燃え上がっている所で、要次郎に逢わせると、根が淫婦だけに
すぐ情を燃やすだろうから、後は要次郎の腕次第で如何にでもなるだろう、
さし当たり俺が澄江をヨガリ泣かせて引導を渡してやろうと思案を定めた。
「要次郎さん、それじゃあんたは澄江さんと元通り夫婦になれたら、
伯父さんの財産なんかどうでも良いのですな」
「勿論ですよ、このまま行っても伯父の家へは戻れやしないのですから」
「そんなら伯父さんの家から澄江さんをしくじらすため、
たとえば一度ぐらい澄江さんを犯しても我慢出来るかね」
「・・・・ええかまいません、どうせ伯父にさんざんおもちゃにされてる女ですから」
「そうと決まれば細工は万事わしに任せて、此処でゆっくり吉報を待っていなさるがいい。
(柏崎の刈羽黒姫山)
◇妻に裏切られた男の話
「あんまりいい気持じゃないのう、伊助」
「それでも先生、取られたものがけえったのですから、あっしゃすーッとしましたよ」
「そう云えばそんなもんだなぁ、ハッハハハ・・・」
やがてその日は姉崎で泊まり、その翌日は柏崎の篠田屋傳兵衛方に泊まった。
夕食は何時もの通りでお粂と云う女中に酌をさして玄庵も伊助も十分に酩酊して
別々の部屋で枕についた。
ところが暫くすると、隣の部屋でヒソヒソと話し合っている男女の声が聞こえてきた。
.それが気に成って玄庵は眠れなかったし、例の好色な好奇心もきざしたので、
そっと足音を盗んで廊下に出ると、障子の隙間から覗いて見た。
すると部屋の中では、玄庵の想像を裏切って、
男女が差し向かいで行儀よく話し合っている。玄庵は案に相違して失望したが、
よく見ると女は宵に給仕させた女中のお粂だった。それに二人共泣いているので、
"こいつはお安くない、どうせ泣いた挙句は抱き合って見ていられぬような場面を
展開するのは知れている”玄庵は胸をときめかせて覗いていると、
やがてお粂は立ち上がったので、驚いた玄庵はあわてて部屋に逃げ込んだが、
そのまま出て行った女は、再び部屋に戻らなかった。
あくる朝、お粂が朝の膳を運んできたので、
「お粂さん、昨夜はお楽しみだね、お陰ですっかり眠れなかったよ」
と云うと、女はちょつと顔を赤らめて、
「済みません、でもあれはあたしのいい人とは違いますわ、弟ですのよ」
「何だ、弟さんか、しかし泣いたりなんかしてお安くなかったぜ」
「実はねぇ旦那、弟は家出して来て、行き先がないので泊めてやったのですわ」
「そりやまたどうしたと云うのだな」
「それがねぇ旦那・・・」
それから彼女の話したところによると、彼女の弟は要次郎と云うのだが、
二人はこの柏崎で相当な家に生まれたのだが、家が没落してから、
要次郎は伯父の沢田屋伊兵衛に引き取られ、彼女は転々として
今はこの宿の女中に成っているのだった。それから要次郎は年頃になって、
伯父には子供がなかったので、五日町の方から澄江と云う妻を貰った。
ところが半年ほどして伊兵衛の女房が死ぬと、それから暫くして、
澄江の要次郎に対する態度がすっかり変わってしまった。
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それまでは夫婦仲もよく夜毎の閨房でも澄江のほうから持ちかけてきて、
二度も三度もせぬと気に入らぬ程交合の好きな澄江が、その時分から少しも
持ちかけて来ぬのみか、要次郎が堪えかねて挑んで行っても、
「あたし今夜は疲れているから堪忍して」
と割り込もうとする要次郎を押し退けるようにして、くるりと身体を向こうにむけるのだった。
若い要次郎はそうされると一層情欲が昂ぶってなおも挑んで行くと、
澄江はぷいと起き上がって部屋を出て行くのであった。
ある晩同じように澄江が出て行った後で、要次郎は腹が立って眠れず、
どうせ何処かの部屋でふて寝をしているのだろうと思い、自分も起き上がって、
二階にそっと上がって行ったが何処にも居ないので、階下へ下りて、
もしやと離れの伯父の部屋の障子際に立った要次郎はハッと頭の中の血が
一時に足元に引いたが、たちまちそれが逆流した。
聞き慣れた澄江の断末魔のような、よがり泣きの声が聞こえたからであった。
要次郎はガクガク震える足を踏み堪えて障子の隙間から覗くと、何と丸裸になった
伯父の伊兵衛の胡坐した腿の上に、これも丸裸になった澄江が左右の腿を拡がるだけ
大きく拡げて乗り跨って、その陰門に伯父の真っ黒に淫焼けした男根を、根元まで一杯に
咥え込みながら、ズボズボゴボゴボと障子の外まで聞こえる程の鳴音を立てていた。
二人の首には赤い澄江のしごきを結んだ輪が掛かっている。
そうして互いに其れを引き合いながら、身体を反らせて、淫水の流れる陰門に、
男根の出入するのを見ながら抜き差しして、汗を流しているのだった。
二人が気をやってしまうまで見届けて寝床へ戻ったが寝るどころではない。
それに澄江のあのすさまじい姿態を見、ヨガリ泣きする声を聞いてからは、
かって自分との間にはあれ程の烈しい取り乱し方が無かっただけに、
云い様の無い嫉妬を感じた。その嫉妬は澄江の肉体への魅力となった。
要次郎は澄江に対しかって覚えぬ程堪え難い欲情を感じた。
やり場の無い欲情の亢進で朝まで眠れなかった。
要次郎は相手が恩義有る伯父だけに眼を瞑る変わりに、
澄江の身体で納得しようとしたが、要次郎が熱く成る程澄江は冷たくなった。
そうして等々居た堪れなくなって家を飛び出して来たと云うのだった。
(柏崎にある日本一海に近い青海川駅 )
成る程、聞けば気の毒だった。
玄庵は朝食を済ましてから要次郎に逢って仔細に話を聞くと、
家出はして来たものの女には十二分未練があるらしく、どんな事に成っても
女さえ得られたら、伯父の財産なんかには聊かも執着がないと、そう云うのだった。
玄庵は考えた。女は年の若い要次郎を捨てて、老人の伯父につくのは、
要次郎の道具が小さいか、交合の技巧が下手で満足できず、巨大な男根と
老獪な技巧で女を喜ばせる伊兵衛の方に心を傾けて居るのに違いない。
それだと幾ら要次郎がカリカリになっても尋常一様の手段ではいかぬ。
だから伊兵衛よりは一層魅力のある男根で女を喜ばせた上で、
一旦伯父の家をしくじらせ、其の上で要次郎に女の満足するような手段を教えてやって、
澄江が男に飢えて欲情の燃え上がっている所で、要次郎に逢わせると、根が淫婦だけに
すぐ情を燃やすだろうから、後は要次郎の腕次第で如何にでもなるだろう、
さし当たり俺が澄江をヨガリ泣かせて引導を渡してやろうと思案を定めた。
「要次郎さん、それじゃあんたは澄江さんと元通り夫婦になれたら、
伯父さんの財産なんかどうでも良いのですな」
「勿論ですよ、このまま行っても伯父の家へは戻れやしないのですから」
「そんなら伯父さんの家から澄江さんをしくじらすため、
たとえば一度ぐらい澄江さんを犯しても我慢出来るかね」
「・・・・ええかまいません、どうせ伯父にさんざんおもちゃにされてる女ですから」
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ご挨拶
Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。
生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。
*このサイトは未成年にふさわしくない成人向け
(アダルト)のコンテンツが
含まれています。「アダルト」とは
「ポルノ」のみを指しているのではなく、
社会通念上、
18歳未満の者が閲覧することが
ふさわしくないコンテンツ
全般を指します。
したがって、アダルトコンテンツを
18歳未満の者が閲覧することを
禁止します。
*投稿・御意見・苦情など、何なりとお寄せ下さい。
尚「相互リンク」を希望される方も、
メールにてお申し込みください。
yorozuya_tarou02@yahoo.co.jp
相互リンクは「官能小説」主体のサイト様、
のみとさせていただきます。
「ワンクリック詐欺」や
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等へ誘導する広告ばかりが目立つサイト様の
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