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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 雪乃と真利子と言う女。其の三
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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」

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雪乃と真利子と言う女。其の三

雪乃と真利子3-1
私は谷川の顔を見つめた。
金もあり社会的地位も有り、美人で聡明な奥さんにも恵まれて、
二人の娘の長女の方には婿養子を迎えて、将来の後継者問題も解決ずみだし、
生産量八千石の中堅の酒造蔵元として堅実に業績を伸ばしている。

はた目には何の苦労も無いかに見えるこの男にも、
性欲の衰えという深刻な悩み事があるのだ。もしかしたら谷川はこの俺に奥さんの
燃え盛る性欲の炎を鎮火させる役割を相談するのかも知れないと
想像を逞しくしていた。
「長野よ。今年の新酒はとても出来が良いんだよ」
『そうかい。楽しみだなあ』

私は今年ばかりは新酒の事よりも、奥さんも納得の上の相談が何で有るかが
楽しみであった。
障子が静々と開かれた瞬間、私はおおっと思った。
谷川夫人が艶やかな和服に着替えて酒道具を捧げ持って入って来たからである。
もともと独身時代にはミス新潟に選ばれた事の有る美人が上品な朱色の地に
源氏車に菊、松、宝づくしの吉祥文様を配した和服を着て居るのだから、
もう言う事はない。

「お待ちどおさま。最初はお冷で召し上がってね」
テーブルの上に洋酒感覚の緑色の瓶と白磁の茶碗が三個置かれた。
「おっ、これは利き酒用のだろう」
「そうですよ。長野さん、お一つどうぞ」
左手で右手の着物の袂をそっと押えて酒を注ぐ谷川夫人の女っぽい仕種に
私は早くも股間のベニスを硬くしていた。

蛇の目と言われる二重丸の染め付けのある白磁の茶碗に注がれた新酒は
いきなりぐいと飲むものではない。

待望の新酒である。じっくりと色を見る。香りをかぐ。口に含んで味を見る。
甘い、酸味、辛い、苦い、渋いなどの五味の状態を見る。
品評会や鑑評会などの審査員はそこで吐き出すが、
今日は飲めるのである。最後は喉越しに飲んだ後の後味である。


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雪乃と真利子3-2
『うーん、今年のは吟醸香が少しきつい感じだなあ、精米歩合はいくらなの』
「七十%ですの」
『セルレニン耐性酵母使ってるんだろう。もうチョツトバランスを
 よくすればどうだろう。九十五点と言うとこかな』
「ああ良かったわ。酒にうるさい長野さんに合格点貰って嬉しいわ。
 お客様の評判が一番気に掛かるんですもの」

谷川夫人は胸を撫で下ろす仕種をして私にニッコリ微笑んだ。
谷川はニヤニヤ笑いながら、
「長野は、うるさいのは酒だけじゃないんだ。女の方に関してもうるさいんだぞ、
 長野に合格点貰える女って少ないんだ」

酒の鑑定も女性の鑑定にどこか似ているようである。
最初は性器の色や形を見て匂いを嗅ぐ。それから締め付け具合から腰遣い、
よがり声の良し悪し、そして終った後の後味・・・。

「あら、ほんとうですの、長野さん」
谷川夫人に顔を覗き込まれた。
『いやぁ、そう言われると照れるなぁ。少しは判りますけど』
私は頭を掻いた。

「長野、謙遜しなくていいぞ。俺とお前の仲じゃないか。実はな俺は還暦過ぎた
 頃からアッチの方がめっきり衰えてなあ。こいつを抱いてやるのは半年に一回か
 一年に一回なんだ。家内の方は今四十歳の今がオマンコしたがりと来てる」 
「あなたったら、言葉が露骨過ぎますわよ」
谷川夫人は両手で赤く火照った頬を押えている。

「誰かセックスフレンドを作っても良いぞ、と俺は家内に言うんだけど、
 家内は知らない男に抱かれるのは嫌だと言うんでね」
「私、谷川酒造の女社長として世間に顔が知られいるでしょう。
 悶着をおこして新聞ネタにでも成ったら恐ろしくて・・・」
谷川夫人は私に近寄り酒を勧めた。化粧と香水の匂いがする。
「それでな、家内からの提案で、俺達の仲人して呉れたお前なら、
 安心して身を任せられる、と言うんだよ、
 俺もお前が相手なら願っても無い話だと賛成した訳なんだ」
雪乃と真利子3-3
「女の私がこんな事言って、はしたないとお思いでしょうが、
 月に一、二度適当な場所を選んでお願い致したいのですが・・・」
美しい谷川夫人に三つ指ついてお願いされては男として立たない訳にはいかない。
『私でよければ喜んで奥様のお相手させて頂きます』
私も丁寧に一礼した。

「長野、ただし、連絡は俺を通じてお前にする。雪乃の都合とお前の都合との
 調整は俺がやる。お前の方から雪乃への直接の連絡は許さない。
 俺の知らない所でこそこそするのは止めて呉れ。
 俺の公認で遣るのなら二人で何をしようと文句は言わん」
『谷川、わかってるよ。俺も男だ』
「じゃ、話しは決った。固めの酒だ。雪乃、熱いやつを持ってこい」
「はい」
谷川夫人の部屋を出て行く際の白足袋の裏底の白さが印象的だった。

「単刀直入に言うが、今夜は俺の家に泊って、家内を抱いてやってくれ」
『おいおい、本当に良いのかい』
「もちろんさ。実は家内の奴、今日は朝からそわそわだったんだぜ。
 熱いのが来たら、少し飲んで俺は退散するから、
 後は宜しくやって呉れ。寝室へは家内が案内するから」

そこへ谷川夫人が信楽焼きの尻がずんぐり膨らんだ徳利を持って登場した。
「さあさあ、熱いのがきましたよ。長野さん、どうぞ」
私は杯を差し出した。
谷川は熱い酒を一杯飲むと直ぐに立ち上がり、そそくさと、
「あとはよろしく」
と言って部屋を出て行った。何となく部屋の空気が堅くなった。

部屋の中には私と谷川夫人が火鉢を挟んで向かいあっていた。
燃え尽きて白くなった木炭が微かな音を立てて崩れた。
『奥さん、本当によろしいのですね』
私は谷川夫人の手をとった。透明なネイルエナメルを塗った指が綺麗だった。
「ええ」
谷川夫人は恥かしそうに頷いた。発情したような赤い目許が美しかった。
  1. 二人の女
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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