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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」 小説・大岡川ラブロマンス。其の十五
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詩(うた)と小説で描く「愛の世界」

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小説・大岡川ラブロマンス。其の十五

◇嬉しい玉の輿
芸者秘話8-2
桜(はな)日和が来ると、女も山水草木の様に一年中で一番美しくなる。
艶々とした女性のヘェロモンが男性の五感を刺激する。

豊艶な腰辺りの肉付き、むっちりと盛り上がった胸の隆起、生き生きとした双眸の輝き、
濡れたように潤んでいる赤い唇・・・サツキは二十五歳の女盛りである。

16才の時故郷の信州を後に母親に連れられて横浜に出て来た。
未成年のアズサは二年間叔母の芸者置屋の下働として過ごし、日舞もそこで仕込まれた。
十八歳に成ってキャバレーのホステスに転向、接客仕事が向いていたのか、直ぐに
スポンサーが付いて七年の間に何人かの男の世話になり乍、今では店のNo1ホステスと
言われるまでに成長した。

「アズサさん、千恵子さんから電話が入ってますよ!」とマンションのインターホーンが呼んだ。
受話器を取ると、
「アラ!お姉ちゃん、私に何か用があるんですって、用事て何なの」
伊勢崎町に有るラジオ日本のサテライトスタジオからちょくちょく引っ張られている、
妹の綺麗な声が受話器から流れて来た。

「そうなのよ、とっても急ぐの、随分長い関西旅行だったわねぇ、
 暢気な娘ねぇ、ちょっと今から出て来て頂戴。ホラ、何時もの寿司屋に居るからね、
 なるべく早く出て来てね」
どうせパトロンの居る妹の事、早川と言う自営業者のボンボン社長など、
問題にはして居ないだろうけど、と安心はしていても、出来る限り早く解決して、
日産スタジヤムで逢う日に豊さんを喜ばせてやりたかった。

あの日大学生の早川と逢ったその寿司屋の座敷で注文したものを一つ二つ
摘んでいる所へ「あら!もう来ていたの、関西、良かったわよ」
と、普段着のジーンズパンツを穿いた丸いお尻を見せて座ると、

「ねぇ、お姉ちゃん、あたしも相談があるの、どうしょうかと思って、
 今迷ってるのよ」
行儀悪く、寿司を一つポンと口に放り込む妹に、
「何よ、行儀の悪いバカな娘ね、子供じゃあるまいし・・・何?相談ッて」 


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芸者秘話8-3
「実はねぇ、平野(パトロンの名)さんが身を引いて呉って言うのよ、
 あたしは余り気乗りしないんだけれど、割と条件が良いので迷ってんのよ」
「ふぅん、そうなの」
「それでね、あたしを山手の方に一軒家を持たせて、政治的にあたしを利用しようと言う
 平野のさんの目論みが有るらしいの、彼は来年の県議会選挙に出馬したいらしいのね。
 あたしはラジオで結構若い子に名前が知られているじゃない、
 選挙カーに乗せて一緒に選挙運動をさせたいらしのよ。
 その家は一億ぐらいするらしいけど、あたしの名義にして呉れる。
 て言うのよ。あたし昨日ちょつと行って見て来たんだけど、
 外人墓地の近くで、割と大きなお屋敷なのよ、ねぇ、此の話どうなのかしら」

「凄いじゃないの、まるで玉の輿って訳じゃないの、県議会議員のお妾さん、
 じゃないの。その話をお受けしちゃへば。どうせ、こう言っちやなんだけど、
 こんな話の裏には良い事は余り無いものなのよ、上手に立ち回って、
 泣きを見ないようにすれば良いわよ。先ず、本当に貴女の名義に
 して呉れるかどうか見極めることね、最悪捨てられるような羽目に成っても、
 家だけは貴女の物にしなきゃだめよ。男なんてそりゃあセコイんだから」
「えぇ、ちゃんと見届けるわ」

「それじゃあ、今度はあたしの話よ、あんた早川ッて言うお客さんご存じ?」
アズサは頼まれた用件に話を移した。
「えぇ、知ってるわよ、どうしてお姉ちゃんが、早川さんの事を知ってるの」
「ねぇ、その早川さんの事なのよ、実わね、あなたが、関西に行くまえに、
 早川さんの弟さんと逢って話をしたでしょう。その後で、彼が私を訪ねて来たのよ」

アズサは当日の事を一部始終語り終わると、
「と言う訳なのよ。良い弟さんじゃないの、まだ大学生で来春イギリスに留学するとか言う
 そのお金を、あたしのところに持って来たわよ、お兄さんが会社のお金を私的な
 遊興費に七、八十万円近く使い込んで居るのを税理士から聞かされた彼の奥さんは 
 激怒して大喧嘩をしたらしいの、それから夫婦仲も悪くなってね・・・
 お金さえ会社に戻れば、帳尻合わせてやると税理士さんが言ったらしいのよ。
 ねぇ、あなたがこのお金を、その早川さんに何とか口実を作って、
 お返しゝて上げながら、もう二度と来ないように言って聞かせて頂戴」

「好いわ、あたし、別に早川さんの事、どうとも思ってなかったんだから・・・
 前にも似たような事が有ったわ、やッぱり会社のお金を持ち出して、
 あたしのところに来ていたけれど、遂に警察沙汰にまでなったの。
 男って、身分相応の事をしていれば、それで良いのに困ったものね。
 ホステスて、見た目の華やかさとは違って苦労が多いのに」
「じゃ、もう帰りましょう。頼んだわよ」
二人が外に出ると、テレビの報道撮影の為か、
大岡川の川岸に黒山の様に人が群がっていた。
  1. ホステス物語
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ご挨拶

万屋 太郎

Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。

生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。

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