小説・大岡川ラブロマンス。其の十六
◇愛に目覚めたチーママ
アズサが妹と別れて寮に戻って来ると、
「このアマ、もう許さんぞゥ!今までは大目に見て遣ったが、現場を抑えたからにゃ、
もう許せん!お前の様なアマは懲らしめてやる!畜生メ!思い知ったかぁッ!」
一階のチーママの部屋ではオーナーの田原が今までにない激怒の為に、
大変な騒ぎであった。サツキとミドリの二人は二階に居なかった。
アズサは何事が起きているのか、大方の様子は察しが付いたが、
二階に上がる訳にも行かず、
「どうしたのょう、オーナー」
と、ドアーを開けた途端、アッ!と声を呑んだ。見るとチーママの和子が後手に
がんじがらめに縛られた挙句に、長い黒髪をバサッと崩して、乱れた裾からは
太腿の奥まで覗いている始末。
「どうもこうもねえ、このアマが若い男(大学生)と逢引をしている処を、
わしが今日抑えたんだ。こう度々わしの顔に泥を塗られちゃ。
もうこれ以上放って置く訳にはいかネェやな」
県議会の総務と言う地位に有る県政界の大物も、その道に掛けての妬気持ちは、
その辺の裏長屋の亭主と変わりは無いらしく、髭の辺りに唾の泡までくっ付けて、
チーママの太腿の奥まで調べ挙げた様子。
アズサはおかしいやら情けないやらで、吹き出しそうになったが、
「何を言ってるのよ、オーナー、ご自分の事は棚に上げておいて、
チーママだけを責める事は無いじゃないの!
あたし、何だったら此処で言いましょうか!」
アズサはオーナーの田原が、赤坂の方で浮名を流している事を聞いていた。
「何を言うんだ、お前は・・・バカな事を言うんじゃないぞ、わしは何も、
やましい事はこれっぽっちも・・・」
流石の田原も是には度肝を抜かれた。内密に赤坂の若い芸者を水揚げしてから、
今までずうっと面倒を見ている女が居たからである。
「そら、ごらんなさい、これっぽっちも、噂の種を消す材料は無いと言うんでしょ」
アズサは前までは年甲斐も無く、チーママが若い大学生の男と、秘かに逢瀬を
重ねて居る事を軽蔑していたが、こんな泥沼稼業をしていると、どうしても、
自分の身に置き換えて、純真無垢な男に惹かれる事が無理からぬと、思い始めていた。
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チーママの和子は、アズサと同じ信州の生まれで、元は赤坂の芸者で今が盛りの三十歳。
女優の高島礼子に似た美人である。若い頃から小説や文学にかぶれていたせいもあり、
今でもどちらかと言うと文学少女ぽさが抜けない、極めてロマンチストな女である。
野球やサッカーが好きで、野球はDeNAベイスターズ、サッカーは横浜マリノスのファンである。
信州生まれの和子は今でも暇さえ有れば、東神奈川のアイススケート場に行ったりしていた。
芸者上がりに似合わず、洋装が好きで、自分でミシンを踏みドレスなどを自作する器用さも、
兼ね備えていた。情夫の大学生は七つ八つ年下と言う話で、スケート場で知り合ったらしいが、
ミドリの話だと、女の様な色白の美青年で有ると言う。
和子はオーナーの田原にどんなに責められても、
どうしてもその大学生と別れる事は出来なかった。
若くして穂高岳で遭難死した弟の面影があり、
それに、和子の体にはその大学生の種が宿っていた。
一度は堕胎したこともあったが、今では和子は如何しても生みたかった。
例え、田原に捨てられ、チーママの地位を追われて、路頭に迷う様な事に成っても、
彼の子供を産んで見たかった。歳は七つ八つ下でも大学生の気持ちは浮ついた物ではなく、
「僕、何でもして働いて見せます」と、真剣で有るのが和子には嬉しく頼もしく感じていた。
こんな浮き草稼業から一日も早く、すっぽりと足を抜きたいと思う昨日今日である。
それに田原の異常なまでの嫉妬心にも愛想が尽きていた。
アズサが妹と別れて寮に戻って来ると、
「このアマ、もう許さんぞゥ!今までは大目に見て遣ったが、現場を抑えたからにゃ、
もう許せん!お前の様なアマは懲らしめてやる!畜生メ!思い知ったかぁッ!」
一階のチーママの部屋ではオーナーの田原が今までにない激怒の為に、
大変な騒ぎであった。サツキとミドリの二人は二階に居なかった。
アズサは何事が起きているのか、大方の様子は察しが付いたが、
二階に上がる訳にも行かず、
「どうしたのょう、オーナー」
と、ドアーを開けた途端、アッ!と声を呑んだ。見るとチーママの和子が後手に
がんじがらめに縛られた挙句に、長い黒髪をバサッと崩して、乱れた裾からは
太腿の奥まで覗いている始末。
「どうもこうもねえ、このアマが若い男(大学生)と逢引をしている処を、
わしが今日抑えたんだ。こう度々わしの顔に泥を塗られちゃ。
もうこれ以上放って置く訳にはいかネェやな」
県議会の総務と言う地位に有る県政界の大物も、その道に掛けての妬気持ちは、
その辺の裏長屋の亭主と変わりは無いらしく、髭の辺りに唾の泡までくっ付けて、
チーママの太腿の奥まで調べ挙げた様子。
アズサはおかしいやら情けないやらで、吹き出しそうになったが、
「何を言ってるのよ、オーナー、ご自分の事は棚に上げておいて、
チーママだけを責める事は無いじゃないの!
あたし、何だったら此処で言いましょうか!」
アズサはオーナーの田原が、赤坂の方で浮名を流している事を聞いていた。
「何を言うんだ、お前は・・・バカな事を言うんじゃないぞ、わしは何も、
やましい事はこれっぽっちも・・・」
流石の田原も是には度肝を抜かれた。内密に赤坂の若い芸者を水揚げしてから、
今までずうっと面倒を見ている女が居たからである。
「そら、ごらんなさい、これっぽっちも、噂の種を消す材料は無いと言うんでしょ」
アズサは前までは年甲斐も無く、チーママが若い大学生の男と、秘かに逢瀬を
重ねて居る事を軽蔑していたが、こんな泥沼稼業をしていると、どうしても、
自分の身に置き換えて、純真無垢な男に惹かれる事が無理からぬと、思い始めていた。
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チーママの和子は、アズサと同じ信州の生まれで、元は赤坂の芸者で今が盛りの三十歳。
女優の高島礼子に似た美人である。若い頃から小説や文学にかぶれていたせいもあり、
今でもどちらかと言うと文学少女ぽさが抜けない、極めてロマンチストな女である。
野球やサッカーが好きで、野球はDeNAベイスターズ、サッカーは横浜マリノスのファンである。
信州生まれの和子は今でも暇さえ有れば、東神奈川のアイススケート場に行ったりしていた。
芸者上がりに似合わず、洋装が好きで、自分でミシンを踏みドレスなどを自作する器用さも、
兼ね備えていた。情夫の大学生は七つ八つ年下と言う話で、スケート場で知り合ったらしいが、
ミドリの話だと、女の様な色白の美青年で有ると言う。
和子はオーナーの田原にどんなに責められても、
どうしてもその大学生と別れる事は出来なかった。
若くして穂高岳で遭難死した弟の面影があり、
それに、和子の体にはその大学生の種が宿っていた。
一度は堕胎したこともあったが、今では和子は如何しても生みたかった。
例え、田原に捨てられ、チーママの地位を追われて、路頭に迷う様な事に成っても、
彼の子供を産んで見たかった。歳は七つ八つ下でも大学生の気持ちは浮ついた物ではなく、
「僕、何でもして働いて見せます」と、真剣で有るのが和子には嬉しく頼もしく感じていた。
こんな浮き草稼業から一日も早く、すっぽりと足を抜きたいと思う昨日今日である。
それに田原の異常なまでの嫉妬心にも愛想が尽きていた。
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ご挨拶
Author:万屋 太郎
2006年9月に初稿をUPしてから
早くも14年が経過いたしました。
生まれ育った横浜を離れて6年前の1月に、
静岡県伊東市に移住いたしました。
山あり、湖あり、海あり、の自然環境はバッグンです。
伊東には多くの文人が別荘を持ち、多くの作品を
手がけて居られるようです、私もあやかって、
この自然環境の中での創作活動が出来ればと思っております。
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(アダルト)のコンテンツが
含まれています。「アダルト」とは
「ポルノ」のみを指しているのではなく、
社会通念上、
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